新型コロナウイルスの犠牲者が2万8千人に及んだフランスで、全国で最も高い死亡率を記録した県に注目が集まっている。長年、貧困が問題になってきたパリ郊外のセーヌサンドニ県だ。感染しにくいとされる若年人口が多いにもかかわらず、この2カ月間の死者数は昨年の2倍超を記録。不平等が感染拡大を助長したと指摘されている。(パリ=疋田多揚)
同県は約160万人の人口のうち、貧困水準以下で暮らす人の割合が28%で、国平均の約2倍。移民が多い地域としても知られる。
県内の大型スーパー、カルフールで働くニコラ・マズエさん(36)は「最も混雑したのは3月半ばで、クリスマス商戦以上だった」と振り返る。外出禁止令が出される直前で、人々が買いだめに押し寄せた。売り上げはふだんの1・5倍を記録。だが、職場にマスクや手袋、消毒剤はほとんどなかったという。
2週間後、従業員に感染者が…

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