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 日本企業の経営はコロナ禍で大きく揺らいでいる。先を見据えた製品開発と企業買収で成長してきた日本電産も例外ではない。しかし、永守重信会長兼CEO(75)はコロナ後の日本では経済や社会、そして人々の働き方が大きく変わると語る。災いを福に転じさせるのに必要なものは何なのか。たたき上げの経営者に聞いた。

日本電産・永守重信会長兼CEO
 1944年生まれ。73年に京都市で創業。積極的な企業買収で売上高1.5兆円、グループ従業員12万人の世界有数のモーター製造会社に育てた。

経営者も政治家も同じだ

 ――経営者としてコロナ危機をどう受け止めていますか。

 「創業以来、何度も厳しい局面はありました。ただ、今回は人命が関わっているという点でまったく違う。2008年のリーマン・ショックでは『こんな時こそ死にものぐるいで成長していこう』とハッパをかけ、業績をあげました。今回は、会社がつぶれるかもしれない、ではなく、人の命が失われてしまうかもしれない。人命最優先の経営という経験は、この半世紀で初めてです」

 ――今回のようなリスクを減らすため、1990年代から海外で事業を広げてきたのでは。

 「世界中どこで異変があってもカバーできるよう、生産拠点や取引先を分散してきました。11年のタイの大洪水では、これが生きた。昨年来の米中貿易戦争で影響が少なかったのも、中国の拠点がだめでもメキシコから出荷できたからです。しかし、今回は世界中の工場がいっぺんにやられた」

 ――パンデミック(感染の大流行)が全世界を襲った、と。

 「これほどまで部品の供給網が寸断されるとは、想定していなかった。グループ各社は複数の仕入れ先企業に幅広く発注してきました。ところが、その仕入れ先は分散していなかったので、モノが入ってこなくなった。築き上げたはずの供給網も完璧ではなかった。反省しています」

 ――今後、どうするのですか。

「これからもやってくる感染症の拡大を前提としたグローバルな生産態勢を作る必要がある。40カ国以上に拠点がある態勢をすぐには変えられないが、数年かけて抜本的に作り替える。一部の部品はすでに自社で作り始めました。自動化、ロボット化、テレワーク……新たな手段はいろいろあるけれど、限界もある。先を見据えて必要とあれば、今後とも企業を買収してでも乗り切っていく」

 ――危機時のリーダーには、何が必要でしょうか。

 「自らの信念、哲学です。それがないと、緊急事の判断はできない。必ずぶれるし、自らも、周囲も納得させることができません。経営者も政治家も同じです」

 「私はどんなことがあっても、会社をつぶさないことを最優先にしています。危機の行方次第では、自らの私財すべてを投げ出さないといけないかもしれない。『雇用の維持こそが社会貢献』と長年言ってきましたが、従業員の解雇を強いられるかもしれません。しかし、そうならないようにするのが経営者の責務です」

 ――リーダーの決断が誤った結果を生む恐れはありませんか。

 「数年前、解雇をしないことで有名だった米国の大企業が業績悪化を理由に大量解雇に踏み切りました。当時のトップに理由を尋ねたことがあります。彼は『ここには1万人しか乗れない船しかない。でも、2万人いる。このまま出航したら沈没する』と語った。躊躇(ちゅうちょ)するうちに事態は悪化する。判断によってはリーダーが憎まれることもあるだろうが、やむを得ません」

 ――いま世界各国の首脳がリーダーシップを争っていますが、懸念はありませんか。

 「感染拡大を防ぐためのリーダーシップは否定しませんが、自国第一主義ばかりが目立つのは気がかりです。その方が国民受けはする。でも、誤った決断です。各国が協調しなければ、ワクチンの開発も進まない。行き過ぎた自国第一主義は、その国の政治基盤の崩壊すら招きかねません」

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