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 徳島市の新町西地区再開発計画に対する市の方針転換をめぐり、地元地権者でつくる再開発組合が、市に計約6億5450万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、徳島地裁であった。川畑公美裁判長(島戸真裁判長代読)は「被告の政策変更や不認可処分は信頼に反する違法な行為」として、市に約3億5880万円の支払いを命じた。

 計画は、中核施設のホールを再開発事業と一体的に整備する内容。完成後に市がホールを買い取ることで、組合と原秀樹・元市長が協議していた。2016年3月の市長選で、計画の白紙撤回を掲げて当選した遠藤彰良・前市長がホールを買い取らないことなどを決め、事業は事実上ストップした。組合はそれまでにかかった事業費などを市が負担すべきだと主張。市は請求棄却を求めていた。

 判決は、住民が市と共に再開発事業を推進してきた経緯を踏まえ、「原告が市の援助のもとに事業が実現されると信頼したことはやむを得ないというべきだ」とし、市がホール購入を取りやめた結果、地権者が多額の負債を抱えるなどの損害を被ったとした。遠藤市長が計画の白紙撤回を掲げて当選したことについて、「政治情勢の変化を示すものにすぎない」として、市に賠償責任があると結論づけた。賠償額は、事業の実現に対し、法的保護に値する信頼があった時期に支出した費用に限定した。(松尾俊二)

 新町西地区市街地再開発組合の高木俊治理事長は20日の判決後に開いた会見で、「組合の主張がおおかた認められた」と話した。 判決を受け入れるかどうかは組合総会を開いて決めるとした上で、「再開発に将来の希望を託してきた組合員は非常に苦しい状況の中で過ごしてきた。(再開発事業の)債権者との交渉や市との話し合いを進め、一日でも早く解決したい」と述べた。内藤佐和子市長に対し、「これからどのようにこの街をつくっていくか、前向きのステップを踏めるようなテーブルをつくっていただけたら」と期待を示した。(伊藤稔)