拡大する写真・図版2019年世界選手権銀メダルで東京五輪代表内定を決め、艇上で日の丸を掲げる吉田愛(左)、吉岡美帆組=林敏行撮影

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準備山ほど「時間足りない」

新型コロナウイルスの影響で、延期になった東京オリンピック。突如生まれた1年の空白期間は、アスリートたちにどう影響するのか。担当記者が探ります。

 メダル獲得が有力視されるセーリング女子470級の吉田愛(39)=ベネッセ=は、レース本番から逆算して計画を立て、きっちり消化していくタイプ。東京オリンピック(五輪)の代表内定を決めたばかりの昨年8月、こう言った。「時間が足りない」。コンビを組む吉岡美帆(29)=同=も本番まで「短いなと感じる」。すべき準備が山ほどある。それを着々と進める中での五輪延期だった。

 「セーリングは道具を使う。マスト一つにしてもたくさんある中から選ばないといけない」と吉田。最も合うセール(帆)や艇などを決めたうえで、最も良い設置法をミリ単位で探る。

 海面には一定の特徴があるが、自然環境は当日どう変わるか分からない。いろんな風や波の状況でシミュレーションし、戦略の引き出しを多く持つことがカギとなる。ポルトガル遠征の後、昨年末に沖縄・座間味島で合宿したのは、強風で波がある中での速さの出し方を練習するためだった。男子艇を練習パートナーにして速さをチェック。向かい風に対する角度を1度の違いまで確かめた。

 2018年世界選手権で優勝。五輪会場の神奈川・江の島で開かれた19年の世界選手権も2位で、優勝した英国艇や3位のフランス艇などとの金メダル争いが五輪で予想される。吉田が「本当に細かいところ」まで徹底するという準備の段階から、五輪の戦いは始まっている。

拡大する写真・図版2019年世界選手権銀メダルで東京五輪代表内定を決めた吉田愛(左)と吉岡美帆=林敏行撮影

 五輪延期を受け、日本セーリング連盟オリンピック強化委員会は内定維持の方針を決めた。斎藤渉委員長は「すでに本番で使う艇の準備も各選手が進めている中で、再選考をするのは適切な判断とは思えない」と説明。ここまで積み上げたものが無駄になることはなくなった。

 自粛で思うように練習できず、気持ちの維持も難しい。だが、日本のセーリング界初の金メダルを目指す2人に「足りない」と思っていた時間は増えた。吉田は日本連盟を通じ、「準備する期間が増えたと思って開催される日までモチベーションを保っていきたい」とコメントした。(松本行弘)

セーリングの「現在地」

 東京五輪では10種目が実施される。日本代表は女子470級をはじめ、男子470級の岡田奎樹(トヨタ自動車東日本)、外薗潤平(JR九州)ら、9種目が内定済み。残る男子1人乗り重量級のフィン級は5月に予定されていた選考指定大会の世界選手権(ゴールドカップ)が延期され、状況を見ている。

支援充実、「金メダル取れる」

 「セーリングは道具を使う競技…

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