拡大する写真・図版ウェブ討論会で視聴者からの質問に答える安芸太田町長選の候補者2人=ユーチューブから

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 人口6083人(4月末現在)の広島県安芸太田町。新型コロナウイルスの影響でさまざまな行動が制限される中、24日投開票の町長選に向け、町の未来をどうやって議論するか。町民たちが動いた。

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 20日午後8時半、廃校した小学校の職員室がユーチューブの画面に映し出された。少し間隔を空けて座ったのは安芸太田町長選の候補者2人。町民や町内で働く30~50代の有志7人が企画した「ウェブ討論会」だ。

 「移住者への支援だけでなく、地元から出る人を減らす政策も必要。どういう政策を考えますか」

 「このままでは町が消滅してしまう。町を発展させるための、夢のある政策を教えてください」

 約270人がリアルタイムで視聴し、実行委員会にメールなどで質問を投げかけた。その数、約200通。その声をもとに実行委が20の質問を候補者にぶつけ、候補者は質問に答えながら自らの政策を訴えた。

 4月上旬、前町長の小坂真治氏(71)が河井克行衆院議員から現金を受け取ったとして、任期途中で辞職した。前町長を責める声もあったが、主婦の影井伊久美さん(41)は選挙の大切さを思い直した。「私たち町民全員で選んだのが、町長ですから」。コロナ禍で候補者が集会を開けない中、「何とかしたい」とウェブ討論会の開催を知人らに持ちかけた。

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 2008年に岐阜県から安芸太田町に移り住んだ陶芸家の本宮(ほんぐう)炎(ほのお)さん(43)は息子の同級生の母親つながりで持ちかけられ、面白そうだと実行委に参加した。

 04年10月に3町村が合併して発足した直後に8784人だった安芸太田町の人口は、年100人前後のペースで減り続ける。「このままでは町が無くなってしまう」と本宮さんは危機感を募らせる。

 今までに自分が見てきた選挙は、候補者がマイクで話すだけで、有権者から質問できなかった。町民たちと一緒に企画を作りたい。若い人たちも巻き込みたい。そう考えてユーチューブでの中継を決めた。高齢の男性からも「討論会、どうやって見られるんかね」との問い合わせがあり、実行委のメンバーが視聴方法を説明した。

 「選挙は新しい町政と町民の初めての共同作業。候補者の生の声を聞いて、悔いのない投票をしてほしい」と本宮さんは言う。討論会の録画映像は投票日の24日まで、ユーチューブ(https://www.youtube.com/watch?v=qLJaURdxtjs別ウインドウで開きます、「安芸太田町町長選挙WEB討論会」で検索)で視聴できる。(西晃奈)

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拡大する写真・図版期日前投票の受付では、透明なビニール越しに職員が対応した=2020年5月21日午前10時12分、安芸太田町戸河内

 コロナ禍の中、町選挙管理委員会は「町民が安心して投票に来られる環境を」と対策を練る。

 23日までの期日前投票所では入り口や窓を開放し、投票用紙を受け渡すスタッフとの間に透明なビニールを張る。マスクのない町民に着用をお願いするため、町民全員に渡せるだけの数のマスクを準備した。投票日当日の投票所スタッフはフェースガードやビニール手袋も着ける予定だ。

 両陣営はともに個人演説会を中止。選挙カーで町内を回り、距離を取って街頭演説をするほか、電話や折り込みチラシなどで政策の浸透を図っている。陣営関係者は「正直やりにくい」と漏らした。

拡大する写真・図版町には青々とした水田が広がる=2020年5月21日午後3時42分、安芸太田町中筒賀

拡大する写真・図版水田が広がる町の風景=2020年5月21日午後3時39分、安芸太田町中筒賀

拡大する写真・図版町役場近くの商店が並ぶ通り=2020年5月21日午後2時47分、安芸太田町戸河内