女川原発、住民避難「最長5日以上」 事故想定で県試算

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徳島慎也 志村英司 井上充昌
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 東北電力女川原発女川町石巻市)事故を想定した住民避難について、県は21日、原発から5キロ圏(PAZ)内だと56時間かかるとの目安を明らかにした。周辺住民の動向次第では渋滞が激しくなり、最悪で5日以上かかる。県は今後、避難計画の見直しを検討する。

 原発から30キロ圏(UPZ)内の計7市町で避難計画が整備されたのは2016年度。避難にかかる時間の試算の公表は初めてだ。

 試算の対象となったのは、PAZの住民約1千人とUPZの約19万7千人。9割の人たちが自家用車(1台2人)やバス(1台40人か25人)などで避難先に移動するまでの時間を求めた。

 現在の避難計画だと、事故直後はまずPAZの住民が避難し、UPZの住民は当面、屋内に退避する。UPZの住民は放射性物質が放出されてから、行政の指示に基づいて避難することになっている。行政の指示に従った割合に応じて、それぞれシミュレーションした。

 全員が指示に従って屋内に退避した場合、PAZの避難時間は6時間だった。だが、UPZの4割が指示に基づかず、自主的に避難を始めた場合は、56時間かかった。これは、福島第一原発事故を踏まえて国が示した目安だという。

 さらに、UPZの全員が行政の指示に従わず、自主的に避難した場合には、135時間10分まで延びた。ただ、避難経路を見直すなどの渋滞緩和策をとると、67時間20分に短縮できるという。

 また、UPZの避難時間については、北、北西、西の3方向に移動するパターンで試算。現状のままであれば、128時間30分~72時間40分となり、対策をとれば70時間~62時間30分になった。

 渋滞を和らげるため、県は今後、住民への啓発活動に力を入れるほか、信号機の解除や避難経路の見直しも進める。放射性物質が車に付着していないかを検査する場所も見直すという。

 ただ、今回の試算では、避難者が途中でガソリンを給油したり、水や食料を買ったりする時間は加味されておらず、実際にはさらに時間がかかる可能性がある。伊藤健治・原子力安全対策課長は記者会見で「今後も改善に取り組み、訓練を行いたい」と強調した。(徳島慎也)

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