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 ライブハウスが長期の休業を余儀なくされている。国は緊急事態宣言を解除した地域でも、ライブハウスなどへの出入りを控えるよう呼びかける。営業再開が見通せず、運営者はインターネットで出資を募るなど存続を模索する。文化の発信地を守ろうと、多くの支援が寄せられている。

 高松市の常磐町商店街周辺には、6店のライブハウスが集まる。いずれも5月末までの休業や公演の延期、中止を決めている。

 「このままでは秋までもたない」。同市亀井町のライブハウス兼CD店「TOONICE(トゥーナイス)」を経営する井川晃里(あきのり)さん(38)は、厳しい表情を浮かべる。3月末から休業し、2カ月近くになる。

 2013年、かつて洋服店だった半地下の空間でオープンした。井川さんは愛媛県出身だが、高松は四国の中でも小規模のライブハウスが少なかった。

 定員は120人ほど。国内のインディーズバンドのライブを中心に年300本以上のイベントを開催。地元の飲食店や古着店の出品スペースを設けたりした。

 「ライブハウスはただ好きなアーティストの演奏を聴くだけの場所ではない。人が交流して、その町の文化を育てる力を持っている」。地域の文化拠点との思いで運営してきた。

 大阪市のライブハウスでクラスター(感染者集団)が3月に確認され、公演中止が相次いだ。「交流の場を断ち切りたくない」。感染対策をしながら営業を続けたが、よく知る仲間のライブハウスが次々と休業し、考えを変えた。「小さな町で感染者を出したくない」。苦渋の決断だった。

 ライブやイベントの収入が全体の95%ほどを占め、痛手は大きい。オリジナルTシャツやCDをネット販売し、自治体の休業要請協力金を申請する。だが、休業中も家賃や人件費など月60万円ほどの経費がかかり、まかないきれない。

 4月、知人で東京のライブハウスの店主から連絡が届いた。全国のライブハウスを支援するため、ネットで寄付を募るクラウドファンディング事業「MUSIC UNITES AGAINST COVID―19」(https://savelivehouse.com/別ウインドウで開きます)だった。

 登録する約250のライブハウスから支援したい店を選び、500円~1万円を出資。額の多少にかかわらず、東京事変やChara(チャラ)など賛同する約70組のアーティストの未発表曲やライブ音源のデータに無料でアクセスできる。6月末まで聴ける。

 井川さんが運営する「トゥーナイス」は4月19日に登録した。支援が相次ぎ、1日で5万円ほど集まる日もある。ライブハウスは人に支えられて成り立つと、改めて実感した。「音楽が生活に欠かせない人もいる。私はここを閉めても音楽に関わるし、早く何らかの形で恩返ししたい」

 市内ではほかに「DIME(ダイム)」(常磐町1丁目)、「MONSTER(モンスター)」(瓦町2丁目)が参加している。(平岡春人)