[PR]

 京都、大阪、兵庫の3府県の緊急事態宣言を政府が21日、解除した。新規感染者の減少や医療の逼迫(ひっぱく)状況の改善が理由だ。先行して解除された県内からは入り込み客に期待する声が上がったが、三日月大造知事は「県境を越えた移動自粛の継続」を改めて呼びかけた。

     ◇

 3府県の宣言解除を受けて、三日月知事は県庁で記者会見し、「好ましい状況だが、気を緩めずに(感染拡大防止に)必要な対策を継続する」との考えを示した。

 具体的には、今月31日までは県をまたいだ移動や接待を伴う飲食店への外出、51人以上の大規模イベント開催の自粛を求める。琵琶湖岸にある16地区の県営都市公園の駐車場閉鎖も継続するという。

 三日月知事は県民に対して「ご不便をおかけするが、ご協力をお願いします」と話した。

 県は22日から、遊興施設や飲食店などの事業者を対象に、営業再開に向けた電話相談に応じることを明らかにした。6月30日までで、県独自の臨時支援金などの問い合わせに応じている県コールセンター(077・528・1344)へ。

     ◇

 滋賀県内の新型コロナウイルスの感染者について、県は21日、新たな確認がなかったことを明らかにした。県内で感染経路の不明も含めて、新規確認のゼロは16日から6日間連続になった。

 京都、大阪、兵庫3府県の緊急事態宣言が解除されたが、県は急速な感染爆発や医療崩壊を防ぐための感染防止策の必要性から、独自の基準で「警戒ステージ」を維持する。

 「警戒」から「注意」に引き下げる場合について、県は四つある「注意ステージ」の判断指標のうち、「大阪または京都に発令」は該当しなくなったが、残りの感染経路が不明な新規感染者の確認が「14日間連続でゼロ(人)」が該当し、県と人の往来が多い大阪や京都での感染状況を注意深くみる必要があるとの考えを示した。

 県の担当者によると、29日まで感染経路が不明の新規感染者ゼロが続き、京都や大阪でも感染が収まっていると判断できれば「注意」への変更を検討する状況になるという。

 一方で担当者は「残念ながら感染が確認された個人が特定され、人権侵害、攻撃が滋賀でもまだまだある」と話し、「感染者への偏見・差別を心配している」と苦言を呈した。

     ◇

 老舗のうなぎ料理店「かねよ」(大津市大谷町)は、3府県の宣言解除を歓迎した。1872(明治5)年創業で、大きな卵焼きがのったうな丼などで知られる。市内から京都市に抜ける往来が激しい国道1号に近く京都、大阪両府や愛知、三重両県などからも客が訪れる。

 しかし4、5月は県外からの客はほとんどなかった。持ち帰りと出前に力を入れたが4月の売上高は前年同月比で半分ほど。今月も21日現在、同様という。

 店内の座席数は3~4割減らし、換気を徹底するなどの対策を取っている。従業員はパートを含めて約40人。常務取締役で総料理長の村田章太郎さん(56)は「雇用を守り、生きるために営業しなければならない。宣言解除にはすごく期待している。今の感染防止対策も現状に満足せず、改善を重ねる」と強調した。

 観光船を運航する「琵琶湖汽船」(大津市)は4月13日から遊覧船「ミシガン」、23日からは長浜港(長浜市)、今津港(高島市)と竹生(ちくぶ)島を結ぶクルーズ船など全便を運休した。

 今月31日までの予定だが3府県の解除を受け、竹生島へのクルーズ船を前倒ししての再開を検討中だ。

 以前から客の大半は県外からで、特に関西方面からが多い。滋賀だけでなく、他府県の知事が県境をまたいでの移動自粛を呼びかけるかも気になるという。

 船舶営業部次長の松下茂生さん(54)は「宣言解除はありがたいが、お客様が戻るかという不安は大きい。最初の便を動かして状況を見ながら、後のことを考えたい」と話した。

     ◇

 滋賀県は21日、大津市にある高齢者と障害者、児童の各福祉施設に、入手が難しい医療用サージカルマスクの配布を始めた。22日までに、約600施設へ計35万4千枚を配る。市外の福祉施設には、20日までに配り終えたという。

 友好関係にある中国・湖南省のメーカーから県が補正予算(約3200万円)で直接買い付けた95万9千枚で、今月納品された。県内2668施設に約75万6千枚を配り、残りは集団感染に備え備蓄するという。

 特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどを営む大津市社会福祉事業団の神沢彰さんは、20施設分のマスクとグローブを受け取った。マスクは利用者にも着けてもらい、洗ったり手作りしたりしてきた。「早く普通に仕事ができ、利用者も心配しないで過ごせるようになってほしい」

 古民家を活用した四つの小規模デイサービス事業所などを営む田村美由紀さん(73)はマスク800枚を受け取った。換気に気を付け利用者が座る向きも工夫してきた。「第2、第3波も心配されるので助かる」

 県の緊急事態宣言は14日に解除されたが、利用者14人は住まいのサービス付き高齢者住宅や有料老人ホームでの集団感染を防ぐため利用を控えたままという。

 大阪府内に住む事業所の看護師一人の休職が続いているという。大阪、京都などの緊急事態宣言の解除決定に田村さんは「看護師が復職でき、利用者も通えるようになれば」と話した。(鈴木洋和、寺崎省子)