[PR]

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言について、埼玉県を含む首都圏1都3県は21日、継続が決まった。大野元裕知事は県庁で記者団に「首都圏一体での対応として、県を解除しなかったのは残念だが、致し方ない」と述べ、政府方針に理解を示した。

 県内では21日、新たに1人の感染が発表され、県内で確認された感染者は中国・武漢市からの帰国者4人を含め延べ998人となった。新規感染者の発表が「ゼロ」だった19日を除けば、1日あたりの感染者数の発表は今月10日以降は1桁台が続く。

 感染状況の主な指標をみても、国が緊急事態宣言の解除目安の一つとする「直近1週間の新規感染者の累計が人口10万人あたり0・5人程度以下」については、県内では0・31人(14~20日)と目安を下回る。PCR検査を受けた人の陽性率(暫定値)も、ピーク時(4月6~12日の1週間平均15・2%)に比べると、今月13~19日の週平均は0・7%まで下がった。

 一方、大野知事は21日、東京都の感染状況と大型連休後の県内の人出の2点が「懸念材料だ」と指摘した。

 内閣官房がホームページで公表している推計によると、JR大宮駅の乗降客数(速報値)は、大型連休中の5月3日は前年比84%減と大きく減ったが、平日の同18日は同63%減と減少幅が小さかった。同駅周辺の人出をみても同様の傾向で、連休中の同5日は感染拡大前の平均と比べて76・3%減だったが、同20日は56・7%減にとどまった。

 大野知事は県内の感染状況について「(感染)経路が分かる中で2割が東京由来だ」と指摘し、都内の感染動向も注視する考え。宣言解除は「首都圏全体、特に東京について考えなければいけない」と述べ、首都圏一体で対応する必要があるとの認識を改めて示した。県民には不要不急の外出を控えるよう引き続き呼びかけている。(長谷川陽子、山田暢史)

     ◇

 埼玉県医師会の金井忠男会長は21日、緊急事態宣言の効果について「自粛要請で本当に(感染者が)減るかどうかわからないと思ったが、実際にやってみたら減った」と評価した。首都圏の解除が見送られたことについては「埼玉県だけなら解除できるが、東京という『感染源』がある以上、共同歩調を取らざるをえない」と話した。

 今後の医療現場の態勢については「『最重症』の患者向けに確保した12床では足りない医療崩壊のような状況が4月半ばにあった。最重症ベッドは増やすことが決まっている」と明かした。

 一方、外出自粛や休業の要請は県民生活を圧迫している。

 埼玉司法書士会が18日から始めた電話相談には「収入が途絶えたが、特別定額給付金が入らない」などの相談が寄せられている。同会によると、各地の社会福祉協議会による「緊急小口資金」を借りることもできるが、新型コロナウイルスの流行で、対面ではなく郵送で手続きをするところもあり、やはり時間がかかる可能性があるという。

 同会の吉田健常任理事は「仮に宣言が解除されてもすぐには元に戻らない。単発の支援策が多く、長期化に対応できていない」と指摘している。(松浦新

     ◇

 埼玉県は21日、新型コロナウイルスに感染した軽症・無症状患者の受け入れ先として確保した8施設のうち、「アパホテルさいたま新都心駅北」(さいたま市大宮区)と「ホテルヘリテイジ」(熊谷市)について、新たな受け入れをやめると発表した。宿泊療養者の減少などが理由。県によると、宿泊療養者は21日午後5時現在、計18人。

 また、確保済みの施設で名称を非公表としていた3施設のうち1施設は「東横INN浦和美園駅東口」(さいたま市緑区)と発表。受け入れ可能な部屋数は171室で26日から受け入れを始める。残る非公表の2施設の運用は見合わせる。今後の宿泊療養は計4施設で522室態勢とする。(釆沢嘉高)

県内の感染状況を示す主な指標

・直近1週間(5月14~20日)の人口10万人あたりの新規感染者累計

→0.31人

・PCR検査数の陽性者割合(陽性率、19日までの1週間平均)

→0.7%