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 緊急事態宣言が解除された後、京都の暮らしはどうなっていくのか。観光と医療、教育のそれぞれの専門家に、見えてきた課題と今後に向けて備えておくべきことを聞いた。

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 急増していた訪日客に比べ、国内からの観光客は近年は減少傾向にあった。緊急事態宣言の解除で国内客がある程度戻ったとしても、海外からの客はしばらく戻らないだろう。昨年までの活況にはほど遠い状態がしばらく続くはずだ。

 そんななか、観光業界をどう復活させるか。まず、観光客が京都でどんな体験をしたいと望んでいるか、改めて考えるべきだ。京都の観光資源を味わいたい人は多い。ただし、その味わい方の要望は顧客それぞれあり、多様化している。

 京都に来なくても京都を楽しめるような、最新のICT(情報通信技術)を活用した情報発信や体験型サービスも必要になるだろう。たとえば映像や音をオンラインで届け、観光地を疑似体験できる仕組みだ。

 観光客の宿泊に特化してきたホテルは、小規模な会合や貸しオフィスのサービス提供によって、地元客の需要を取り込める可能性もある。

 情報収集や分析、対応といった、観光地としての危機管理体制の確立が急務だ。メディアやSNSで現状を積極的に発信し、訪問者の不安を解消する取り組みも欠かせない。(聞き手・佐藤秀男)

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 新型コロナウイルス感染症が拡大した経過の中で、医療体制の課題が明らかになった。一つは住民から見た医療サービスの使いにくさだ。感染の不安を感じた場合、どこにどう相談すればいいのか迷う状況も生じた。障害のある人や外国語が母語の人も含め、住民の不安に素早く対応できる受け皿が必要だ。

 二つ目は、再び感染が広がる事態にどう備えるかだ。医療・保健政策を担う都道府県には、迅速に情報を集めて分析する能力が一層求められる。国内のPCR検査は当初、なかなか増えなかったが、国が手を打つのを待つのではなく、地域医療の側で新しい仕組みを作るべきだった。府内では医師会が運営に携わる検査も始まっており、順調に進むといい。

 二つの大学病院をはじめ、設置主体も規模も様々な病院や診療所が多数あり、京都の医療は比較的手厚いと言われる。今回は感染爆発に至らなかったが、日頃、医療の余力をどの程度残しておくかが大きな問題だ。各医療機関が病床や医療従事者の情報を共有し、地域全体で一定の余裕を設ければ、感染者が増えた場合にも対応できるだろう。(聞き手・佐藤美千代)

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 3カ月近い休校期間に子どもたちが経験したことはそれぞれ違う。学校が再開すれば、その差が一気に顕在化する。学校は授業を進めることのみを意識しすぎると、差は広がってしまうだろう。子どもたちにとって休校がどういう経験で、学校に何を求めているかの声を聴き、一人ひとりの現状をつかむことが重要だ。

 再開されても、感染が拡大して再び休校する事態も予想される。地域や公私立によって現状は違うが、オンライン環境の整備は不可欠だ。「平時に戻ったから不要」では、同じことを繰り返し、保護者の不信感が今以上に増してしまう。

 ただ、オンラインで授業を届けても、子どもが学ぶとは限らない。家庭学習をどうサポートするかという視点が必要だ。「遠隔」と「登校」のハイブリッドをどう構築するかがこれからの課題となるだろう。

 少人数指導で密を避けると、教室や人手が足りなくなるし、アルコール消毒などの仕事も増える。先生に子どもの学びの保障とケアに集中してもらうためにも、地域のサポートが必要になる。京都は学生のまち。学生の力を借りてもいいのではないか。(聞き手・向井大輔)