新型コロナウイルスへの対応を取材していて目につくのが、国と地方の役割分担のあいまいさだ。緊急事態宣言が出てからも、休業要請をめぐる両者の争いで混乱が生じることがしばしばあった。不毛な対立をしている場合かと、もどかしさも感じる。こんな危機にこそ、「地方自治」の存在意義が問われるのではないか。地方創生に長年取り組む、日本総研の藻谷浩介・主席研究員に話を聞いた。(聞き手・菊地直己)
藻谷浩介さんの略歴
もたに・こうすけ 1964年生まれ。日本政策投資銀行などを経て、2012年より現職。著書に「里山資本主義」など。
国と地方、どちらにも任せられない
まるで「応仁の乱」後の時代みたいだと思いませんか? 守護大名や公家は京の都にこもって内輪もめや前例踏襲に明け暮れ、地方の守護代や国人(こくじん)がのし上がるまで国家権力には空白が続く――。守護大名を国会議員、公家を官僚に、守護代を知事、国人を市町村長に置き換えてみればどうでしょう。国と地方の関係は、いままさに転換点なのかもしれない。
今回の緊急事態宣言は、国と自治体の権限や責任の仕分けが不明確です。知事の判断でできるはずだった外出自粛や休業の要請も、基本的対処方針の改定で国が関与する余地が残った。現場を知らない国と、対応の力がばらつく地方。どちらにも任せきれない実態が、対処方針に反映されていると思います。
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