新型コロナで営業休止 危機の山小屋にクラウド支援の輪

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近藤幸夫
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山小屋の役割とは

 北アルプス八ケ岳などでは本格的な登山シーズンを迎えました。しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止対策で、ほとんどの山小屋は営業を開始できない状態にあります。こうした状況をなんとかしようと、全国の登山者からクラウドファンディングで支援しようという動きが広がっています。

 山小屋は登山者に宿泊場所を提供するだけでなく、登山道整備やトイレ利用、キャンプ場の管理など山を維持する公的な役割があります。規制の厳しい国立公園内で山小屋が営業していなければ、テント泊さえできません。安全で快適な登山を継続するため、登山者に協力を求めているのです。

 クラウドファンディングは、登山者向けの地図アプリで知られる「YAMAP(ヤマップ)」(福岡市)の「#山小屋支援プロジェクト」(6月30日まで)と、山岳関係の書籍を手がける「山と渓谷社」(東京都)の「山小屋エイド基金」(8月13日まで)です。いずれも、集まった支援金を対象の山小屋に渡し、営業再開に向けて役立ててもらうことにしています。二つとも開設から3日目までに目標額(200万円、300万円)を大きく上回る1千万円を突破。全国に支援の輪が広がっています。

今季は営業自粛

 新型コロナウイルスは、山小屋の経営を直撃しました。大型連休や夏山の登山最盛期、山小屋には大勢の登山客が訪れます。自然環境の厳しい山岳地帯にあるため、居住スペースが限られて「3密」の状態となります。特に、稜線(りょうせん)などの施設は水が限られ、感染防止対策の手洗いもままなりません。非常事態宣言が出たこともあり、今季の営業を自粛する山小屋がほとんどです。

 槍ケ岳山荘や穂高岳山荘などが加盟する北アルプス山小屋友交会は7月中旬まで営業自粛を決めました。富士山の山小屋は今季の営業休止を決定。このほか、尾瀬や八ケ岳など全国各地の山小屋の多くが営業できない状態でいます。

 山小屋の役割は、登山客を泊める宿泊施設だけではありません。登山道の修復や標識の整備を、スタッフたちが手作業で行っています。山岳地帯では、街中と違って公衆トイレがほとんど設置されていません。代わりに山小屋のトイレが、その機能を果たしています。また、国立公園などでは、指定地しかテントが張れません。指定地の多くは山小屋に隣接しており、維持・管理は山小屋が担っています。

 山小屋の機能の中で最も重要…

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近藤幸夫
近藤幸夫(こんどう・ゆきお)元朝日新聞山岳専門記者
1959年。岐阜市生まれ。信州大学農学部卒。86年、朝日新聞入社。初任地の富山支局で、北アルプスを中心に山岳取材をスタート。88年から運動部(現スポーツ部)に配属され、南極や北極、ヒマラヤで海外取材を多数経験。2016年から山岳専門記者として活動。今年からフリーランスに。