ラグビー大野が引退会見「下手だから、長く続けられた」

野村周平
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 ラグビー日本代表歴代最多の98キャップ(代表戦出場)を誇るロックの大野均さん(42)=東芝=が22日、ウェブ上で引退会見を開き、「昨年のワールドカップ(W杯)の日本の躍進や若手の台頭でやり残したことはないと感じた」と決断の理由を語った。今後の活動は未定だが、「東芝に恩返ししながら日本ラグビーに貢献したい」という。

 大野さんは1年ほど前から両ひざの痛みが悪化。昨年末からチームの全体練習を離れて調整してきたが、治らなかったという。「多くの方に応援してもらって現役を全うできた。後悔はない」とサッパリした表情だった。

 日本代表で最も印象に残った試合は、3大会に出場したW杯ではなく、2013年にウェールズを23―8で破ったテストマッチ(東京・秩父宮)という。代表1年目の欧州遠征では0―98で敗れた相手に快勝し「ノーサイドの瞬間は本当に涙が出て、グラウンドがぼやけて見られなかった」と振り返った。

 高校まで野球部。地元福島の日大工学部でラグビーを始めた。身上の激しさはベテランになっても変わらず、「鉄人」と称された。「パスもキックも下手だったからやることはシンプル。何をプレーするか迷っていたらここまで続けられなかった」。不器用な選手が生きる道を探し、日本ラグビーに欠かせない存在になった。「私のような人間でも気軽にラグビーを始められる環境を整えていければ」と話した。

 コロナが落ち着いたら、「娘が韓流アイドルのファンなので、新大久保をデートしたい。これからはそういう時間を大事にしたい」と、優しい父親の顔ものぞかせた。日本代表の後輩たちには「ハードワークと自主性は今後もキーワードになる。昨年のW杯で得た自信をさらに積み重ねることができれば、8強以上に進める」とエールを送った。(野村周平)

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