[PR]

 新型コロナウイルスの影響を受けた事業者や住民への支援策の中身に、自治体間で差が出ている。財政力の違いが背景にありそうだ。各自治体は、国から配られる臨時交付金を元手にしつつ、貯金として積み立ててきた「財政調整基金」などを取り崩しながら、独自の支援を模索している。

 支援の手厚さでまず目を引くのが仙台市だ。「地元の事業者が元気にならないと市もなりたたない」(郡和子市長)との危機感から、感染防止のため県からの休業要請に応じた業者に払う協力金を、30万円から、最大80万円まで増額した。売り上げが落ちた業者への20万円の支援金も盛り込んだ。

 この財源を工面するため、市は異例の対応をした。「市債管理基金」からの借り入れだ。本来は市債の償還を目的にした基金だが、12年ぶりに借り入れて資金を調達した。財政調整基金も補正予算で1億円あまり取り崩した。

 同市で「中国菜館 まんみ」を2店舗経営する大柳商店(青葉区)は協力金80万円の対象となる。大柳憲太郎社長(45)は「市や県の取り組みはありがたい」と評価しつつ、「(新型コロナは)一丸となって乗り越える必要がある問題。今後は公務員も民間と痛みを共有した支援が必要かも知れない」と話した。

 財政基盤の強さを示す「財政力指数」(2018年度)が県内トップの女川町は、国が支給する1人10万円の特別定額給付金に2万円を上乗せ。さらに県の休業協力金の対象外の店にも30万円を出す。

 こうした支援を、女川駅近くの洋服店「マツヤ」の小野寺欽哉さん(52)は歓迎する。洋服店は県の協力金の対象外だが、売り上げは例年より9割ほど減った。「この状況が何カ月も続けば厳しいが、一息つける」。同町は女川原発の固定資産税収入などで強固な財政基盤を誇る。給付金上乗せなどで財政調整基金を約1億1千万円取り崩す見通しだが、それでも残高は100億円を超える。

 大規模な工業団地がある大衡村も、5千円分の商品券を全世帯に配り、休業協力金に10万円を上乗せして40万円にするなど手厚い。

 一方で、懐事情が厳しい自治体は、悩みながらできることを考えている。

 近い将来に赤字決算になる恐れがあるとして「財政非常事態宣言」を2月に出した村田町は、1人10万円の国の給付金や休業協力金を支給するが、上乗せなどの独自策は決まっていない。町の担当者によると、町民から「仙台市のような上乗せはないのか」「独自の支援策はないのか」と問い合わせがあった。財政調整基金の残高は約7500万円。できることはないか調整しているという。

 同町のイベント会社は、休業要請の対象外だったが、県外からの来客が多いため営業を自粛した。他の自治体では要請の対象外でも支援しているところもあり、広報担当者は「格差は感じる」と話す。ただ「町の財政が厳しいのは分かっているので、町に強くは言えない。休業要請を出した主体である県が、支援を考えて欲しい」と訴えた。

 地域のニーズに応じて独特な支援を行う自治体もある。

 畜産が盛んな美里町は、購入した子牛を育てる「肥育牛農家」に対し、エサ代として牛1頭あたり8千円を上限に補助する。町によると、外出自粛の影響で飲食店や宿泊施設からの高級牛肉の需要が減り、価格が下落。だがエサ代はかかり続けるため、経営への影響が大きいと判断した。

 同町で肉牛75頭を育てる肥育牛農家の海上純さん(51)は、エサ代に月100万~120万円かかる。だが、A5ランクのブランド牛は、通常なら130万円ほどで売れたが、今は100万円前後。海上さんは「売っても売っても赤字」。町から補助が出ることは歓迎するが、「足りない。先が見えない不安が大きい」と話す。

 のり養殖が盛んな七ケ浜町は6月中旬にも、ひとり親家庭約150世帯に地元産のりなどの食材を配る。地元業者から購入して経営を助ける狙いもある。

 中小事業所が多い多賀城市は、手続きに手間がかかるとされる国の雇用調整助成金の申請を支援する。専門家の社会保険労務士に申請を依頼する際、その報酬を10万円まで補助する。