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 山梨県内の学校でようやく新学期が始まる。丹波山村は22日に一足早く再開。日曜の24日には一部の小中学校で入学式があり、多くの小中高校は25日に学校が始まる。上野原市と山梨市は休校を31日まで延長した。新型コロナウイルスが奪った学ぶ機会を取り戻す試行錯誤が続く。

 県教委は感染症対策をまとめ、各学校や市町村教委に通知した。

 小中学校では、換気が悪く人が集まる空間、不特定多数が接触する恐れが高い場所での講演会などの活動を避ける▽体育では身体的な接触がないようにする▽音楽では間隔を十分にとり、合唱の時間を限定する――ことなどが求められる。

 さらに、調理などの実習を避け、給食では向かい合わずに会話を控える。配膳の手間を考え、品数を抑えるといった項目まである。

 県立高校に対しては、登校前の検温▽生徒が対面にならない机の配置▽手を触れやすい場所や用具はこまめに消毒――などを通知した。また、電車やバスなど公共交通機関での感染リスクを避けるため、必要に応じて時差登校を検討することなども挙げられた。

 部活動も対策が必要だ。1週間を目安に活動の時間、内容を5段階に分け、徐々に通常の活動に戻す▽体育館などでは部活ごとの入れ替え制にし、部員が多ければ活動時間ごとにグループ分け▽自主練習はなくし、速やかに下校する――。

 夏休みは短くなりそうだ。県教委は、臨時休校分を取り戻すには小学校で8日、中学校で11日それぞれ短縮する必要があると試算した。学習内容の多い小5と中2について、休校期間を3月1日~5月31日と想定。体育や音楽など、休校中はできなかった授業は再開後に実施しないことにして試算した。

 学校によって休校期間は異なるため、各校は試算を参考にカリキュラムを練ることになる。

 臨時休校中、各市町村は紙で配った課題を分散登校日に提出してもらい、新たな課題を渡すという対応をとった。数は少ないがオンライン授業に取り組んだ学校もあり、臨時休校中の児童・生徒の学習到達度を把握することも大切になる。(市川由佳子)

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 発育発達学が専門で、ヒット曲「パプリカ」のダンスの監修もした山梨大の中村和彦・教育学部長に学校再開について聞いた。

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 実技科目には制限があるが、集団感染を起こさないことを第一に授業を実施しなければならない。いま実施できないことを不安に思う必要はない。

 新学習指導要領は、「主体的・対話的で深い学び」を掲げている。結果ではなく、プロセスが重視される。オンライン授業はグループで意見を出し合うことが難しい。実際の授業は意見を出し合う時間にしてほしい。

 部活動も「休みだからやらない」ではなく、「能力を伸ばすには何が必要か」と考え、実行する時間にできたら良いと思う。

 プール授業については判断が難しい。パリで「雑用水道」の水から新型コロナウイルスが検出されたことが、水泳の専門家の間で話題になっている。慎重にならざるをえないだろう。

 休校中は親子で過ごす時間が長かったからこそ、親子一緒に過ごす時間を大切にしてほしい。「3食作るのが大変」と子の隣でインタビューに答える親をニュースで見た。「わずらわしい」なんて子どもの前では言わないでほしい。

 人生経験の少ない子どもたちは、親以上に大きなストレスや不安な気持ちを抱えている。小学1年生や受験を控える中学3年生は不安だろう。子どもの心に気を配ってほしい。(聞き手・市川由佳子)

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 長い休みの後にいきなり学校が始まると、生活リズムが変わって心身への負担が大きい。多くの学校が、登校日を設けるなどして再開に備えてきた。

 山梨県北杜市の長坂小は15日から分散登校を実施。教室での密集を避けるため、校区を三つに分けて交代で通ってもらった。

 「かずだけまる(○)にいろをぬりましょう」

 21日、1年1組の教室に子どもたちの声が響いた。27人のクラスメートのうち10人が集まり、0から10までの数字に親しんだ。ワークブックの動物の絵を見て何匹いるかを数え、丸印を塗りつぶした。

 担任の植松志きぶ教諭は、早めに作業が終わった子どもたちに「お友だちと問題を出しあってみよう。けれども、近づいていっちゃだめだよ」と声をかけた。

 「子どもどうしで教え合うといった活動は、感染予防を考えると難しい。『新しい生活様式』に合わせた指導法を模索中です」と話す。「1学期のスタートが遅れた分、学習内容を詰め込み、結局『分からない、つまらない』となってしまうのは避けたい。健康に注意しながら、基礎基本の力をつけさせたい」

 甲府第一高校(甲府市)は休校中もオンライン授業を進めてきた。再開後の第1週はひとまず学年ごとに分散登校をし、3年生が午前中、1年生は月、水、金、2年生は火、木曜の午後に登校する。

 輿石登教頭は「生徒の健康を守ることと、学習を保障することをバランスよく実現したい」と話す。

 とはいえ、大学受験を控える3年生はあまりのんびりしていられない。再開後はさっそく実力テストをするという。(吉沢龍彦)