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 新型コロナウイルスの感染拡大がいったん落ち着きを見せる中、「第2波」に備えてPCR検査の重要性を湯崎英彦・広島県知事らが訴えている。広島県内の検査体制は、どうなっているのか。(東谷晃平、北村浩貴)

 「PCR検査を大規模に拡大し、早期に感染者を発見することが必要だ」

 湯崎知事は21日、日本記者クラブ主催のオンライン会見でそう強調した。

 湯崎知事ら18道県の知事は13日、「積極的な感染拡大防止戦略への転換」「PCR検査の早急な整備」などの5項目を政府に提言していた。背景には、コロナ禍で経済が大打撃を受けているという危機感がある。

 湯崎知事は「街の灯が消えたようになっている。再度、外出自粛や休業要請をすると、経済はもたない。(支援のために)新たな財政出動となると、財政がもたない」と力説した。

 そこで知事らが訴えるのが、PCRなどの検査を大規模に実施することで、できるだけ早く感染者を見つけ、感染が広がるのを未然に防ぐ戦略だ。「感染者の個別発見、遮断が重要。選択肢はそこしかない」

 県内の検査体制は4月中旬、三次市と広島市でクラスター(感染者集団)が発生した際に限界に達した。

 当時、PCR検査ができるのは県保健環境センター(広島市南区)と広島市衛生研究所(西区)の2カ所だけ。1日の受け入れ上限は計130件だったが、4月14日には311件の検査が必要になった。

 上限を50件としていた市衛生研究所は、検査機器を夜11時過ぎまでフル回転させて1日で191件の検査をした。人手が足りず、保健所などから検査技師の応援を得た。「これがいつまで続くのか」。担当者は不安で頭を抱えた。県健康対策課の西丸幸治課長は「検査所の負担は相当なもの。一時的に無理をしても、継続的には検査技師らの体力がもたない」と話す。

 5月中旬以降、県内の検査数は1日30件を切る日もあり、ピークから大幅に減った。外出自粛の効果のほか、嗅覚(きゅうかく)障害などを伴う花粉症や風邪が季節的に減ったことも背景にあると西丸課長はみる。「長期戦に備えて、今のうちに準備を進める」

 県内では検査体制の拡充が進む。

 福山市保健所が5月14日から検査を始めたほか、民間の検査機関や大学への検査の委託も進めている。

 広島大学では1日30件を検査できる。福山市は4月末から民間の福山臨床検査センターに1日40件を上限に検査を委託。センターは6月中に上限を100件に増やす。

 検体を採取する場所も増えている。当初は医療機関の「帰国者・接触者外来」が検体採取を担ったが、車に乗ったまま検体を採取する「ドライブスルー方式」が県内22カ所に広がった。

 東広島市は先月21日から月~土曜の1日1時間、最大20人の検体をドライブスルー方式で採取している。広島市医師会も今月23日から毎週土日に各2時間、ドライブスルー方式の検体採取を始める。検体採取と治療の両方を担ってきた舟入市民病院(中区)の負担を軽減するためだという。

 県のPCR検査能力は22日現在で1日270件まで増えた。当面は350件まで拡充を目指す。広島県より人口規模が大きく、人の往来も多い福岡県の感染者数を参考に決めた数字だ。

 湯崎知事はさらに大規模な検査拡大を訴えているが、実現するためには「PCRだけでなく抗原検査なども組み合わせる必要がある」と西丸課長は話す。