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 ライブハウスが存続の岐路に立たされている。新型コロナウイルス感染拡大の影響でイベントの自粛や中止が求められ、売り上げが激減する中、家賃などの固定費は重くのしかかる。文化の発信拠点を守ろうとクラウドファンディングなどで支援を募る経営者を応援する動きも広がっている。

 静岡市葵区七間町のライブハウス「UHU」。新型コロナの影響で、事前に予定していた4、5月のライブイベントはすべて中止。休業要請を受け入れ、すべての営業を停止した結果、売り上げは前年比8割減まで落ち込んだ。

 18日から営業を再開したが、6月以降もスケジュールは、ほぼ白紙。Tシャツの販売やライブ配信、飲食店としての営業で、経営の維持をめざす。「またここで生のライブをたくさんの人に届けるために今は我慢の時」。ボスの中村信哉さん(60)は前を向く。

 中村さんは、音楽に特別な思いがある。2011年の東日本大震災で、故郷の岩手県釜石市は津波で甚大な被害を受け、県立釜石南高校(現県立釜石高校)のラグビー部の後輩や、友人を多く失った。日本中が悲しみに暮れ、自粛ムードに包まれた。

 「こんな時だからこそ音楽がみんなの力になってくれる」。震災後、東北の復興に役立てるため、チャリティーコンサートを開いた。「私は泣いています」などのヒット曲で知られるシンガー・ソングライターの故りりィさんを招き、会場は興奮に包まれた。「あの日のことは一生忘れない」。中村さんは、音楽の力を実感した。

 今、新型コロナで世界中が不安の中にいる。音楽の力で、元気づけたいと思っても、活動することが感染を広げる恐れがあり、歯がゆさを感じている。

 2月に大阪のライブハウスでクラスター(感染者集団)が発生。ライブハウスは「3密」(密閉、密集、密接)の代表格として、連日、報道で取り上げられた。早くから営業自粛を求められた東京や大阪のライブハウスでは4月以降、閉店が相次いでいる。

 そんな中、中村さんは全国で支援のためのクラウドファンディングが広がっていることを知った。存続のための運転資金などに充てたいと、中村さんも15日に始めた。始めて5日目で目標の300万円の40%が集まった。寄付者には著名人も名を連ねた。

 ロックバンド「ウルフルズ」のギタリストだったウルフルケイスケさんからは「全国のライブハウスで演らせてもらっていますが、しんやさんはベスト3に入る熱い男。そんな男が、熱い気持ちで、熱い音楽を鳴らし続けているUHU。絶対に無くなってはダメ」とメッセージが届いた。

 「本当に感謝。ミュージシャンが帰ってくる場所を全力で守ることが僕の役目。音楽の灯は決して消さない」。熱い支援を受け、中村さんは、気持ちを新たにしている。

 クラウドファンディングのサイト「CAMPFIRE」の専用ページ(https://camp-fire.jp/projects/view/273371別ウインドウで開きます)から支援できる。(和田翔太)