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 新型コロナウイルスからペットを守るには? 海外では、ペットの犬猫や動物園のトラが感染したとする報告もあり、猫カフェや動物病院の関係者は休業中の世話や診察にも細心の注意を払っている。一方で確実な予防策はなく、手探りでの取り組みが続く。

 保護猫カフェのディアキャット(奈良県生駒市)は、感染拡大を受けて4月2日に休業を決めた。休業中もトイレの掃除やえさやりが必要。「自分が猫にうつしたら」。8匹の猫の世話をするオーナーの笹尾奈緒子さん(33)は、店内でもマスクを外さない。

 店は6月からの再開を予定しているが、客に手指の消毒やマスクの着用を求めていくという。笹尾さんは「猫にうつってしまう怖さがある。命を預かる仕事なので、お客さんにも注意をお願いしたい」と話す。

 動物病院の奈良動物医療センター(奈良市)は、感染拡大を受け、診察の方法を見直した。来院が必要か電話相談で判断し、待合室を閉鎖して人や動物の密集を回避。2週間を目安に処方していた薬は1カ月先まで渡し、飼い主とペットの不要な外出を防いでいる。感染したと思われるペットや感染者のペットが来院すれば、伝染病用の部屋に隔離して治療するという。

 作野幸孝院長は「対策としては、なるべくペットを外に連れ出さないこと。動物も抵抗力が落ちると感染症にかかりやすくなる」と呼びかける。

 臨時休園中の天王寺動物園(大阪市)では、獣舎の掃除や餌を作る際、飼育員の飛沫(ひまつ)を獣舎の内側やえさに付着させないために、せきやくしゃみをしないよう指示。特にネコ科の動物の世話は、作業前の手洗いや獣舎に入る際の靴の消毒も徹底している。

 飼育員の感染も防ごうと、自家用車など公共交通機関を使わない通勤方法を認めたりしている。担当者は「飼育員が感染すれば、そもそもの世話ができなくなる。人の感染防止にも力を入れたい」と話す。

 海外では、ペットの犬や猫への感染例が報告されている。4月には米ニューヨーク市の動物園で、無症状の飼育員から感染したとみられるトラが陽性反応だった。今月には、東京大や国立感染症研究所などの研究グループが、猫が新型コロナウイルスに感染しやすく、猫同士での感染も起こりやすいと指摘する論文を発表した。(渡辺元史、平田瑛美)

 一方、人から動物への感染に対する専門家の見方は冷静だ。

 動物の感染症について研究している北里大学獣医学部の高野友美准教授(獣医伝染病学)は「人から動物への感染はまれで、むやみに恐れる必要はない」と指摘。一方、「可能性がゼロともいえず、室内の消毒や台所洗剤を薄めたものでペットが触りそうな場所を拭き取れば、リスクを減らせる」と話した。

 厚生労働省によると、犬科の動物に具体的な症状は見られなかったが、ネコ科の動物が感染した例だと、呼吸器系に症状が見られた研究結果もあるという。担当者は感染の可能性は高くないとしながらも、「ペットに触る前と後に手を洗うことや、飼い主が不必要に体をなめさせないなど、接触を控えてほしい」と注意を呼びかけている。