拡大する一人娘を抱く西口洋平さん=2016年12月
「僕自身が仲間とつながれて、社会に発信することで、僕の中で生きる力になり、こんなに元気でいられる」(進行した胆管がんをきっかけに「キャンサーペアレンツ」を作った西口洋平さん 2020年5月8日に40歳で死去)
2年前、「世界対がんデー」の2月4日、朝日新聞が「がんとの共生社会づくり」を掲げて続ける「ネクストリボンプロジェクト」の催しで、西口洋平さんはステージから、そう語りかけました。
同日の「仕事と治療の両立」がテーマのシンポジウムでも、急成長した人材会社「エン・ジャパン」の営業職として激務をこなしてきた経験をもとに、「僕にとって良かったのは、歯を食いしばって働いてきて、そこ(職場)に人と人とのつながり、あったかいものがあったこと。それは制度とかを優に超えていくもの」と話しました。私はコーディネーターとして壇上の隣の席で西口さんの言葉を聞きながら、「『つながり』が彼のキーワードなんだな」と改めて思っていました。
拡大するネクストリボンプロジェクトで講演する西口洋平さん=2018年2月4日
「つながりを生きるチカラに」という言葉を、西口さんはこの日だけでなく、よく使っていました。西口さん自身が35歳で進行した胆管がんと言われた時、「つながり」を渇望しながら得られなかったからです。
不安な気持ちを話したいが、周りに同じ世代のがん患者がいない。会社の同僚にも友人にも、自分の悩みを話すどころか、がんになったと伝えることすら二の足を踏む。小学校に上がる年齢の子ども、心配をかける妻、老いていく親にどう接したらいいか――。
ひとりぼっちという寒々しい気…
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