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経世彩民 浜田陽太郎の目

 東京都内に住む要介護3の取材先に電話してみた。介護サービスが滞りなく続いていることを知り、安心した。新型コロナウイルスの感染拡大で人手不足に拍車がかかり、訪問介護の事業者たちはきわめて厳しい状況にあるが、「介護難民」を出さないように仕事を続けているようだ。

 私の方は在宅ワークを続けているが、だんだんと気がめいってきている。「自分が今いなくなっても、社会はそれほど困らないんだろうな」という思いにとらわれるのだ。

 自分の仕事が人々にどんな便益をもたらすのか考え始めてしまった。忙しいふりをして動き回っていた時にはなかったことだ。

 「エッセンシャルワーカー」という言葉をよく聞くようになった。感染防止のため外出が制限されるなかでも、この人たちは職場に行き、働かないと社会が回らないという「どうしても必要な仕事」についている。

 その最たる例が、医療や介護の従事者だろう。働いてもらわないと、命が守れない。そのことがコロナ禍により可視化され、世界的に「ヘルスケアワーカー」を応援しようという機運が生まれた。

拡大する写真・図版どこの国でも、介護の現場は24時間365日休めない=2016年2月、スウェーデンの高齢者施設、浜田陽太郎撮影

 WHO(世界保健機関)と米国に本部を置く団体「グローバル・シチズン」が連携して4月に開催したウェブコンサートは、まさに感謝と応援のために開かれた。レディー・ガガ、ザ・ローリング・ストーンズ、エルトン・ジョンら伝説的な音楽家たちが自宅から演奏を披露。出演者の一人、ポール・マッカートニーは「我々のリーダーに、ヘルスケアシステム(保健医療体制)を強化するよう求めよう」と呼びかけたのが印象的だった。

 では、自分の仕事が「エッセンシャルワーク」でなかったら何なのか。もしかしたら、「ブルシットジョブ」(Bullshit Jobs)と呼ばれる類いなのかも……。

もしかしたら「ブルシットジョブ」?

「クソどうでもいい仕事」。この言葉は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの社会人類学者、デビッド・グレーバー教授が、2013年に書いたエッセーから生まれた。マイナーなメディアのウェブサイトに発表されると、100万超のアクセスが集中。エッセーは12の言語に翻訳されたという。(検索すれば「Strike!」というサイトの記事がヒットし、今でも無料で読める)

 グレーバー教授は、「未公開投…

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