[PR]

 新型コロナウイルスの影響を受け、埼玉県内の多くの学校で、ほぼ3カ月にわたる休校が続いている。学校再開に向けた動きが各地で出始め、さいたま市も6月1日の再開を決めたが、学校関係者はどういう思いだったのか。

 「あんな学校ならもう行きたくない」

 さいたま市で、特別支援学校を除く市立学校の休校が始まった3月2日。市内に住む高田彩文千(さやか)さん(40)の小学4年生(当時)の長女(10)が学校から戻ると、泣きながらこう言ってきた。

 この日、高田さんは仕事があったため、働いている保護者らの児童を受け入れる学校に長女と小学1年生(当時)の次女(7)を行かせていた。長女に聞くと、「あんな学校」とは、友達が近くにおらず、先生がぴりぴりしていて自由におしゃべりができない雰囲気だったという。高田さんは「学校が好きな娘がそう言うほど緊張感のある状況になっていたんだと思う」と推し量る。

 この3カ月、さいたま市では休校期間の延長が数回、行われてきた。学びを止めないようにと、オンライン学習も始めた。

 しかし、高田さん宅では使えるパソコンは1台のみ。姉妹2人が同時に使うことはできない。親子で取り組む課題もある。在宅勤務の日は子どもと一緒にできるが、食事作りなどもあり、仕事に費やす時間が確保しづらいときがある。

 学校再開は6月1日からで、分散登校の形をとることが決まった。高田さんは「延長が続くと、子どもも家庭もきつかったと思うので、ほっとした。焦らず、子どもたちのペースに合わせた指導をしてほしい」。

     ◇

 さいたま市緑区の市立芝原小学校の吉岡貴和校長は最初の臨時休校について当初、こう思っていた。

 「授業はほとんど終わっているから、2週間ぐらいの休校ならば、まだなんとかなるのではないか」

 政府による全国一斉休校の要請を受け、さいたま市教委が「3月2日から13日まで」休校するよう通知してきたときだ。

 その間、仕事を抱える保護者らの児童を預かり、多い日には1日50人ほどを受け入れた。感染予防に配慮し、長机の両端に1人ずつ座ってもらった。広い空間を確保できる校舎内のホールも活用した。「家で留守番するのが難しい低学年が多かった。修行のようでつらかっただろう」。吉岡校長はこう振り返る。

 ただ、休校は3月14日以降も続き、春休みへ。まもなく新学期が始まるという4月3日に、さいたま市教委は大型連休最終日までの休校延長を決めた。一方で、分散して登校してもらうことも同時に確認したため、吉岡校長は、少しずつ日常が戻るような気がしたという。

 ところが直後の同7日に政府が緊急事態宣言を発出。一転、分散登校は中止となった。同校では、教員の3分の2が在宅勤務となり、児童の受け入れ対応や下校後の校内消毒の作業などは限られた教員で行っているという。長い休校期間に入り、ネット上の動画などを活用したオンライン学習も始まった。デジタル端末を持たない児童らは学校で受け入れている。悩ましいのは、児童に機器の使い方を教えることはできるが、課題の内容を教えると、「授業」となるため、質問に応じることができないことだという。

 吉岡校長は「こんなに長い休校はこれまで経験したことがない。教員たちも子どもたちと会いたいと思っている。早く日常が戻ってほしい」と話す。(山田暢史)

学校休校をめぐる主な動き

【3月】

2日 県内の小中高校がこの日以降、順次、臨時休校に

【4月】

2日 県が県立学校の休校を4月12日まで延長と発表

3日 さいたま市教委が5月6日までの休校延長を発表

7日 政府が緊急事態宣言。県や県内自治体で5月6日までの休校延長を決める動きが相次ぐ

28日 県が県立学校の休校を5月31日まで延長と発表。さいたま市教委も同様の対応を発表

【5月】

22日 県、さいたま市が6月1日から分散登校で学校を再開する方針を決定。県内自治体でもほぼ同様の動き