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 邪気を払う伝統工芸品で新型コロナウイルス禍に打ち勝とうと、佐野市民から天明鋳物の狛犬(こまいぬ)と佐野人形の鍾馗(しょうき)像が相次いで寄贈された。作者はコロナ克服の願いを込めた。

 約千年前に鋳造が始まったとされる天明鋳物の狛犬を佐野市の唐沢山神社に奉納したのは栗崎鋳工所(亀井町)を営む栗崎二夫(つぎお)さん(74)。同神社は平将門の討伐に功績があった藤原秀郷をまつっている。天明鋳物は秀郷が連れてきた鋳物師が作り始めたといわれる。狛犬は本殿前の門に置かれた。

 金銅製の狛犬は両前脚で踏ん張っている。「どんな表情にするか苦心しました」と栗崎さん。神社の佐野由希子さんは「邪気を払うと言われている。新型コロナ禍から、世の中を守ってほしい」と話した。

 鍾馗(しょうき)像を市に寄贈したのは吉貞(よしてい)人形工房(植下町)の吉田哲也さん(58)。「現代の名工」にも認定されている父宏さん(86)=号・吉貞=と一緒に作り上げた。

 鍾馗は病床に伏せっていた唐の玄宗皇帝の夢枕に立ち、邪鬼を食い破ったと伝えられる。日本でも魔よけの信仰が室町時代ごろから定着したという。

 吉貞の鍾馗像は左足を踏み出し、右手の剣で打ち掛かろうとしている。吉田さんは「疫病だけではなく、憂鬱(ゆううつ)な空気も払うと言います。自粛中で沈みがちな気分を吹き飛ばしてほしい」と手渡した。岡部正英市長は「にらみを利かせて、コロナを打ち払って頂きたい」と話した。鍾馗像は佐野市役所1階ホールに展示された。(根岸敦生