ライバルだけど、気持ちは同じ 元プロ・島袋洋奨さん
ずっと目指して頑張ってきた甲子園がなくなって。悔しくてやるせないと思います。僕が思っている何倍も。かける言葉が見つかりません。
大学時代、投げるのが怖くなって、制球が定まらなくなりました。プロ野球では、戦う土俵にも上がれなかった。けがにも苦しんで、1軍で投げられたのは2試合だけです。
でも、好きで始めた野球で、プロになれて。幸せな悩みだと思って、向き合っていました。実力が足りなかったけれど、やり切りました。引退して、今年4月、興南の事務職員として働き始めました。我喜屋優(がきやまさる)監督には「次の人生のスコアボードに挑戦してほしい」と言われています。将来は教員として、指導者として歩むつもりです。
自分の人生には、いい時も悪い時もありました。野球を通していろんな経験ができました。これから、同じように悩んでいる子がいたら、僕も力になりたいと思っています。
我喜屋監督をはじめ、沖縄の高校の指導者たちが、動画を作りました。三線(さんしん)や指笛に乗せて、夏の甲子園の大会歌「栄冠は君に輝く」を歌い、全国の球児へエールを送っています。「想(おも)いは一つ。夢をもって、逆境を乗り越えよう」「目指せ、心の甲子園」と。いつもは、ライバルだけれど、みなさんを思う気持ちはみんな同じです。少しずつでいいから、前を向いて。次なるステージを目指して、進んでほしいと思います。(聞き手・木村健一)
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〈しまぶくろ・ようすけ〉 興南(沖縄)のエースとして2010年の甲子園で春夏連覇。中大からドラフト5位でソフトバンクに入団。けがに苦しみ、19年に現役引退。1軍登板は通算2試合。
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