拡大する写真・図版ぬいぐるみのカピバラが優先席に座るレストラン=2020年5月20日午後3時26分、静岡県伊東市の伊豆シャボテン公園、村野英一撮影

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 首都圏に出されている緊急事態宣言が25日にも解除される見通しだ。解除を見据えて静岡県東部の熱海、伊東両市では観光客の受け入れに向けて動き出した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「密」を避けられる体験、食事、入浴を用意。まずは県内客を呼び込み、東京都や神奈川県からの来訪にもつなげたい考えだ。

 伊東市の伊豆シャボテン動物公園は16日から営業を再開した。平日の入園者数は100人前後。週末の17日は452人、23日は403人で、いずれも例年の4~5割程度だという。

 感染防止対策としては、屋内施設ではソーシャルディスタンス(社会的距離)の工夫を採り入れた。「森のどうぶつレストラン」では、半数近い席に園内で人気の動物のぬいぐるみを置いた。自然と間隔を空けて座ってもらい、かわいらしいぬいぐるみに囲まれて、食事を楽しんでもらう。

 4人がけのテーブル席に2体ずつ、カピバラやレッサーパンダのぬいぐるみが着席。「ANIMAL ONLY」(動物のみ)の掲示もあり、なごやかな雰囲気で食事を楽しめる。

 中村智昭園長は「人と人との距離を保つために、最初は椅子を外すことを考えたが、お客様が楽しめるようにと、視点を変えました」と説明する。

 屋内だけでなく伊豆高原の広々とした環境が自慢の屋外展示も好評だ。西伊豆町の加藤みどりさん(68)は「自粛で外に出ていなかったので、広い所に来てみたいと思った。のびのび歩いてリフレッシュしました」と話した。動物公園に近い大室山登山リフトも18日から営業を再開している。

拡大する写真・図版バラが咲く庭園でマスクを着けて歩く観光客ら=2020年5月22日午前11時25分、静岡県熱海市上多賀のアカオハーブ&ローズガーデン、村野英一撮影

 相模湾に面する熱海市の谷あいに600品種4千株のバラが咲く「アカオハーブ&ローズガーデン」は21日に営業を再開。赤、黄、ピンクの花々があでやかな英国風庭園には、甘い香りが漂っている。設楽昌平企画課長は「マスク着用でも芳潤な香りを楽しめる。花と香りの一番良い時期は6月10日ごろまで続きます」と薦める。

 愛犬を連れた静岡市の女性(53)は「自粛の間は静岡市で花を見ていました。ここは自然の地形を大事にして花を栽培し、花の種類も多いので、毎年来ます。人出は例年よりも少ないと思う」と話した。

 函南町から熱海市西端の頂に登る十国峠ケーブルカーは21日から、窓を開けて換気しながら運行を始めた。乗客全員に検温して37・5度未満であるかを確認し、マスク着用とともに「会話を控えて下さい」と呼びかけている。

 宿泊施設にも営業再開の動きが出始めた。熱海市南部の下多賀のホテル「ニューとみよし」は21日に営業を再開した。宿泊客に個室で食事を用意。入浴も貸し切り風呂で利用できるようにし、「安心して泊まっていただけるようにしました」。全22室のうち、23日は半数の部屋が埋まったという。

 一方で室数が50を超える大規模なホテルはまだ休業中が多い。ホテルニューアカオは6月5日まで、熱海後楽園ホテルは5月31日まで休業する予定だ。

 熱海商工会議所の担当者は「熱海市内のホテル・旅館の6、7月の予約はまだ1割に届かない。大きな宿泊施設では、宿泊客の大半を占める首都圏から観光客が来ないと、営業の再開は厳しい」と話している。(村野英一)