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 中国政府が香港の治安を維持する法律を制定する方針を打ち出したことを受け、香港社会で反発や動揺が広がっている。1997年の返還後、高度な自治を保障した「一国二制度」の形骸化が避けられない情勢だ。強まる中国の締めつけがもたらす絶望感から、抗議デモが過激化する可能性もある。

 中国が香港の「治安法案」を打ち出した背景には何があるのか、香港市民がどう対応するのか。香港政治を研究する倉田徹・立教大教授が記事の後半で語ります。国防予算案が6・6%増加したことについても、現代中国政治を専門とする高原明生・東大教授が読み解きます。

 中国政府は長年、香港政府に国家分裂などの行為を禁止する内容を含む治安関連法「国家安全条例」の制定を指示してきたが、国際的なイメージの悪化を懸念して、直接介入を避けていた。だが、昨年来の大規模なデモをきっかけに香港で独立運動が一気に高まると、中国側は法整備を自ら主導する方針へ転換した。

 関連法案は今後、香港の議会を通さずに施行する異例の措置がとられる。どんな内容になるかは中国次第だ。

 香港に中国政府直轄の治安機関が設置されると、中国の情報当局者が常駐する可能性がある。ただ司法の仕組みは共産党の指導下にあり、容疑者への拷問も指摘される中国本土と、香港では大きく異なる。取り調べや裁判を、中国と香港のどちらの機関が担うのかは明らかになっていない。

 中国の国家安全法と類似の治安関連法が香港で成立した場合、香港で毎年6月4日に開かれる天安門事件の追悼集会など、反中国的とみなされた行動は処罰される恐れがある。香港の日本人も例外ではなく、違法行為に問われる可能性がある。香港大の張達明・首席講師は「法案の中身を注視する必要がある」と指摘する。

 香港では9月に立法会選挙が予定され、民主派の伸長が予想される。しかし、関連法案は最速だと8月に施行されると報じられており、民主派の立候補資格が取り消され、出馬できなくなる可能性もある。(広州=益満雄一郎)

「高度な自治、形骸化避けられない」 倉田徹・立教大教授

 香港の「一国二制度」はかなり…

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