拡大する写真・図版記者を迎えてくれたのは、十家集落でたった一人の住民の上家敏一さんだった=2019年12月、徳島県つるぎ町、上田学撮影

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 斜面にへばりつくように家屋がたち、「天空の集落」と呼ばれる場所が徳島県の山間部にある。そこに向かう車道はなく、たどり着く手段は徒歩のみ。いま暮らしているのは1人だけだという。人口減が究極まで進んだその先、地域の営みはどうなってしまうのか。昨年暮れに2度、集落を訪ねて考えた。

 集落があるのは、西日本第2の高峰・剣山(1955メートル)のふもとのつるぎ町。15年前に合併した旧一宇村(いちうそん)の十家(といえ)集落だ。

 町役場から旧村の中心部まで車を走らせ、渓谷沿いの国道438号を進む。険しい断崖が迫り、対向する車とすれ違えないような細い箇所もある。

 かつて一宇村役場があったふもとの切越集落で車を降りる。集落に向かう車道がないので、カーナビももちろん使えない。ここからは、10年ほど前まで十家集落に住んでいた下家(しもけ)千恵佳さん(76)に道案内をお願いした。

 「年を取ってしんどくなってしばらく行っていない。もうどれくらいぶりか」。下家さんですら、そう言う。

 国道から脇に入り、細い急斜面の山道を上る。うっそうと杉林が生い茂り、昼でも薄暗い道は、ところどころ崩れかかり足元をよく見ないと道に迷いそうだ。獣道ができて、どちらが本物の道かわからなくなることがあるという。近年はシカやイノシシ、サルなど野生動物がよく出没し、途中に動物のフンらしきものもたびたび見かけた。

拡大する写真・図版十家集落をめざし、山道を上っていく下家千佳恵さん。杉林が覆う道は日中も薄暗い=2019年11月、徳島県つるぎ町、上田学撮影

 20分余りで視界が開け、最初…

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