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 新型コロナウイルスの感染拡大による政府の緊急事態宣言が25日、千葉県内でも解除された。宣言から2カ月近く。外出自粛や休校で自宅待機を余儀なくされた人々には安堵(あんど)の表情が浮かんだ。森田健作知事は休業要請を解除する行程を、前倒しする方針を表明。事業者からも歓迎の声が上がった。

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 千葉県市原市の上総更級公園では、多くの家族連れが、ボール遊びやかけっこなどで遊んでいた。夫婦で娘2人と遊んでいた千葉市の会社員男性(52)は「ほっとしたが、まだ元通り安心して外出、というわけにはいかないね」と複雑な表情で話した。

 幼稚園と小学校の休園・休校で家で娘たちの世話をするために妻(36)は医療事務の仕事を休んだ。妻は「解除がされて遊びに出る人が増えればまた感染者が増える。そうなればまた繰り返し……」。

 市原市在住の消防職員、杉山智久さん(40)も解除については冷静だ。「解除がされてもウイルスがいることに変わりはない。人混みを避けつつ生活したい」

 「やっと解除されて、うれしい」。介護関係の会社に勤める市川市の女性(44)は安堵(あんど)の表情を浮かべた。都内で働くが、4月上旬から在宅勤務に。朝礼や会議をインターネット上で行い、客へは資料を郵送し、電話での接客を続けてきた。「仕事は滞りがちになったけど、会社も私も、コロナで働き方を試行錯誤している」

 鉄道会社で働く男性(32)は「これまでも、通勤時間帯の電車は混み合っていた。解除後に人が増えたら、第2波もありうるのではないか」。

 アパレル企業の契約社員として働く千葉市の女性(35)は、「約2カ月間、友達と会えなかったからストレスがたまった。解除されたら、友達と食事に行っていろいろ話したい」とうれしそうに話した。(高室杏子、小木雄太)

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 「やっと再開できる」。千葉県柏市のミニシアター「キネマ旬報シアター」スタッフの我妻詩穂子さん(37)は、ほっとした様子だ。一時的に開館できた約1週間を除き、3月上旬から約3カ月間も臨時休館が続いた。

 「再開したら必ずおうかがいします」。手紙や電話、メールで、客から激励が次々と寄せられたという。前後左右の席を空けるかたちで座ってもらうなど、感染防止対策を徹底して上映を再開する予定。我妻さんは「コロナウイルスがなくなったわけではない。外出は、1~2週間は様子見となるのでは」。

 22日に示された方針から一転、6月1日から休業要請が解除されることになったカラオケ店。千葉市中央区の「いずみ」のオーナー高山清子さんは「ありがたいが、急に言われても準備ができていない」と不満をこぼす。長年、仕事帰りのサラリーマンが集まる場所だったが、3月下旬から営業を自粛。「客に出す冷蔵庫の野菜や肉はすべて捨ててしまった。お客さんは来ない習慣がついてしまったと思う」

 一方、県の休業要請の解除時期が「未定」の店からは、焦りの声が上がった。

 「すぐにでも営業を全面再開しないと、もうもたない」。中央区でバー「black cat」を営む遠藤直樹さん(41)は、4月の収入がゼロだった。

 「バーは必ず密になるので、仕方ない」と思いながらも、「もう少し現場のことを考えてくれないと、死んでしまう。もう後がない」。(福冨旅史、石原剛文)

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 政府の緊急事態宣言の解除を受けて、森田健作知事は25日、県庁で記者会見し、「ある程度のところで区切りは必要。国の判断は妥当だと思う」と話した。その上で、事業者への休業要請については、当初の予定を前倒して解除を進める方針を明らかにした。

 県は、休業要請の対象となる業種を「A」から「D」の四つに区分して、段階的に解除を進めるとの方針を示し、Aにあたる図書館や博物館への要請は22日に解除していた。

 26日午前0時からは、Bにあたる大学や映画館などへの要請を解除。また、飲食店での午後7時以降の酒類提供自粛を午後10時以降に緩和する。

 6月1日には、Cのパチンコ店、ネットカフェのほか、Dに区分されていたスポーツクラブやカラオケボックスについても「一定の安全性が確保できる」と判断して解除する予定だ。

 キャバレーやナイトクラブなどの、接客が伴う飲食店やライブハウスは「クラスター(感染者集団)の発生の可能性が高い」として引き続き休業を求める。

 終日の外出自粛要請は解除する。県境をまたぐ移動、特に25日時点で特定警戒都道府県だった東京都、神奈川県、埼玉県、北海道への移動は、引き続き自粛するよう求めた。

 全国的で大規模なイベントの開催は、今後3週間程度は、中止や延期を求める。一方、屋内で100人以下で、施設定員の半分程度に参加者を抑えたイベントや、屋外で参加者200人以下のイベントは、開催できるようになる。

 休業要請の解除をめぐっては、森田知事が22日、「区分ごとに1週間をめどに判断する」としていた。わずか3日で大幅な前倒しを決めた理由について、森田知事は「総合的に判断した。その時に良いと判断したことをやっている」と述べた。(寺沢知海、上田雅文)