詐欺容疑者がタクシー予約 電話でぴんときた社長らは…

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米田千佐子
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 4月末、タクシー会社に奈良署から電話がかかってきた。特殊詐欺事件の容疑者の男が奈良市内をタクシーで移動していたらしいという内容だ。その夜、今度は男から電話があった。タクシーの予約だ。タクシー会社は署に連絡。男をタクシーに乗せ、警察官が警戒するJR奈良駅へと送り届けた。

 4月29日午後2時半ごろ、カイナラタクシーを運営する大和交通(奈良市)に奈良署から電話があった。受けたのは北浦康充社長(70)。

 電話はこんな内容だ。その日の正午ごろ、奈良市の80代女性が男にキャッシュカード2枚をだまし取られた。女性宅の近くでタクシーを降りた男はいないか――。

 配車センターで配車履歴やGPS情報などを調べると、該当するタクシーがあった。タクシーに乗った客の男は携帯電話で予約し、この日はすでに3回利用していた。取締役の北浦光顕さん(38)がドライブレコーダーからわかった男の容姿や服装などを署に伝えた。

 午後7時半ごろ、また予約の電話があった。電話番号は同じだったが、男は前回と違う名前を名乗った。光顕さんは時間を稼ぐため、「配車依頼がたくさんあるので配車に時間がかかる」と男に伝え、すぐに署に通報。タクシーを手配した。

 ほどなくタクシーは奈良市の…

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