拡大する写真・図版小林喜光氏

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 日本化学会の新会長に5月25日、三菱ケミカルホールディングス(HD)の小林喜光(よしみつ)会長(73)が就任した。就任記者会見で「日本のノーベル化学賞の受賞者の実績は、過去の栄光」と述べ、中国に後れを取ることも増え、存在感が落ちている日本の科学技術の現状に警鐘を鳴らした。

 日本のノーベル化学賞受賞者は、1981年に受賞した故福井謙一氏から昨年受賞した吉野彰氏まで8人おり、アジアでは群を抜いて多い。しかし小林氏は「研究開発で勝ってビジネスで負けたという時代もあったが、今は、研究開発でも負けている」と指摘。世界規模の課題を解決する成果を上げるには、「一定程度、腰をすえて研究できる環境をつくらなければいけない」と話した。

 日本化学会の役割として「化学はどんなものか知ってもらうことが重要」と話し、積極的に化学系の他の学会などとも協力していく考えも示した。

 日本化学会の会員数は約2万5千。会長は近年、大学などの研究機関出身者が2回続いた後に産業界の出身者というパターンで選ばれている。大企業のトップ経験者が就くのは、経団連会長を務めた榊原定征氏以来となる。会長の任期は2年の予定。

 小林氏は74年、三菱化成工業(現三菱ケミカル)に入社。2007年に三菱ケミカルHD社長、15年から同会長に。15~19年、経済同友会の代表幹事を務めた。(今直也)