拡大する写真・図版「信頼できる研究者仲間やスタッフが支えてくれたのです」と語る=東京都小平市の国立精神・神経医療研究センター、北村玲奈撮影

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 覚醒剤、大麻、危険ドラッグ……。有名人による事件のたびに「だらしがない快楽主義者」などとバッシングが起きる。こうした見方に対し、長年患者たちと向き合ってきた精神科医の松本俊彦さん(52)は、「精神論では片付けられない」と訴える。薬物依存の専門医になるまでの経緯や、依存症をどう理解すればいいのかを聞きました。

孤立している人ほど薬物に脆弱

 「心に痛みを抱え、孤立している人ほど薬物が持つ『依存性』に対して脆弱(ぜいじゃく)なのです。薬物に手を染めるようになった背景に目をやるべきです」

 ヒリヒリとした青春時代だった。1980年代、通っていた神奈川県小田原市の中学校では校内暴力の嵐が吹き荒れた。教室の窓ガラスが割られ、トイレにはシンナーやたばこのにおいが充満していた。教師の胸ぐらをつかみ、ひざげりする生徒。生徒会の役員をしていたが、あるときから乱闘騒ぎが起きたのを察知すると、トイレの個室に雲隠れするようになった。

 「悪夢のような中学生活が一日も早く終わってほしいと願っていた」

 高校時代に読んだ加賀乙彦の小説に感化され、精神医学に興味を抱き、佐賀医科大へ。「まずは故郷を離れたかった」。本を読んだり映画を見たりする日々。講義に出席した記憶はあまりない。だが「大きな街で学びたい」という思いが強くなり、卒業後、帰郷。横浜市立大の研修医になり96年、神奈川県立精神医療センターに勤務した。

患者から突きつけらた言葉

 仕事にも慣れてきたときのこと。普段と同じように薬物の被害について脳の画像を見せ、患者に説明していた。だが激しく突き返された。「本で得た知識なんてやめてくれ。教えてほしいのは薬物のやめ方なんだ」

 薬物依存症とは、脳の神経回路…

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