軍事転用できる乾燥機、韓国にも輸出容疑 3人再逮捕
軍事転用が可能な噴霧乾燥機「スプレードライヤ」を韓国に不正に輸出したとして、警視庁は26日、粉体機器メーカー(横浜市)の社長(71)=同市栄区=ら同社の3人を外国為替及び外国貿易法(外為法)違反(無許可輸出)容疑で再逮捕し、発表した。捜査関係者によると、3人は容疑を否認するか黙秘しているという。
公安部によると、再逮捕容疑は2018年2月、経済産業相の許可を得ずスプレードライヤ1台を韓国に輸出したというもの。申請書類にうそを記入し、輸出が規制される性能を備えていないよう装ったという。
この機器は液体を霧状にして乾燥させ粉状にするもので、インスタントコーヒーなどの製造に使われる。細菌製剤など兵器の開発にも転用できるが、転用は確認されていないという。
3人は同型の機器を中国へ不正に輸出したとして逮捕、起訴された。同社は「いずれの機器も規制対象にあたらない。公判でも主張していく」としている。
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東京地検は21年7月30日、外国為替及び外国貿易法違反などの罪で起訴した社長ら被告2人の起訴を取り消したと発表した。社長らの弁護人から指摘を受け、警視庁と東京地検が起訴後に改めて調べた結果、同社製品は輸出許可の必要がない可能性が浮上したためとしている。同社顧問の男性も逮捕起訴されたが、3月に亡くなった。社長らは9月8日、捜査の違法性を明らかにするため、国と東京都に約5億7千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
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