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 新型コロナウイルスの影響で就職活動が難しくなったり、離職を余儀なくされたりした人たちの当面の受け皿として、大阪府内の自治体が任期付き職員の採用を進めている。豊中市では今月、22~62歳の12人が採用され、窓口業務などを担っている。

 兵庫県在住の女性(22)は今月1日付で豊中市の会計年度任用職員として採用され、市民課に配属された。国が一律10万円給付する特別定額給付金のオンライン申請に必要なマイナンバーカードの交付を主に担当している。

 3月に大学を卒業したばかり。客室乗務員として働きたくて海外の航空会社の採用試験を受け、2月に1社の面接を通過した。あとは健康診断や語学試験などを残すのみで、夏からは中東を拠点に働き始めるはずだった。

 だが3月中旬、会社からメールが届いた。「コロナの影響を受け、これ以上採用のプロセスを進めることができません」。途方に暮れたが、いつ事態が収束するかわからない。「社会人としての経験を積みたい」と思い、豊中市の臨時採用に応募した。

 今回の豊中市の採用では、就職活動に使える臨時休暇を10日間取得できるほか、市の就労支援講座も勤務時間中に受けられる。任期は最長で来年3月末だ。

 女性は「世界が厳しい状況で採用していただき、感謝しかない。同じ境遇の人もいて心強かった」。航空会社の採用再開を待ちつつ、「業界が違っても学べることはたくさんある。勉強しないと」と前を向く。

 市民課で働き始めた別の女性(22)は、内定を受けた企業から2月、勤務地を当初の約束だった大阪から岐阜県に変更すると通知された。会社の言い分は「このご時世だから」。家庭の事情で大阪を離れることが難しく、内定を辞退した。

 同居の母親は自宅待機中で、勤務先の京都の会社から「大阪から来ないでほしい」と言われたという。「私が働かないと」と女性が思っても、求人はまったくなくなっていた。

 毎日不安に過ごすなか、母が豊中市の臨時採用を見つけてくれて応募した。4月中旬に市から採用通知が届き、ほっとした。女性は「窓口で働きながら資格の勉強をしたい」と話す。

 府内では大阪市も今月1日付で50人を採用し、24区役所と福祉局に配属した。募集期間は1週間だったが184人が応募した。市もコロナ対応で業務が増えており、人手不足を補う目的もあるという。

 府も50人の緊急雇用を決め、4月下旬から各課が順次、ハローワークを通じて募集を始めた。府人事課によると、今月26日時点で8人が働いている。(柳谷政人)