[PR]

 名古屋・大須にあった古刹(こさつ)・久宝寺が税金の支払いを滞納したとして、名古屋国税局が寺が所有する墓地を差し押さえ、公売にかけたことがわかった。墓地の公売は極めて異例のことだ。

 国税局によると、公売にかけられた墓地は、名古屋市千種区の平和公園内にある。面積は591平方メートルで、約50基の墓がある。

 公売の最低価格は6867万円。開札は26日の予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期された。新たな時期は未定だ。

 関係者によると、国税局は2017年、寺の税務調査を実施し、住職(72)が寺の資金約7千万円を個人的な投資に流用したことを確認。このうち約5千万円について、寺が住職に支払った臨時賞与とみなして源泉徴収漏れを認定した。

 重加算税の追徴課税もあったが、寺は約2260万円の支払いを滞納し、当時の財産は墓地だけで国税局が差し押さえた。その後、一部納付された。開札日までに全額納付すれば、差し押さえは解除される。

 国税徴収法は礼拝などに直接使う神体、神具、仏具などの差し押さえはできないが、本堂や庫裏は直接必要と認められず差し押さえができるとしている。墓地も不動産と同じで差し押さえができる。

 住職は取材に、「檀家(だんか)に申し訳ないのひとことだ」と話している。

 全国寺院名鑑によると、久宝寺は1556年に創建され、その後、清洲から大須に移転。住職らによれば、戦災で焼失後、3階建て建物を本堂と庫裏にしていた。(村上潤治)

僧侶の鵜飼秀徳さん「寺は身の丈にあった経営を」

 「寺院消滅」の著書があるジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳さんの話 地方では過疎や高齢化で消滅し、住職のいない寺は全国で1万5千~2万を数える。都市部では収益事業に失敗して破綻(はたん)する寺も出てきている。人口減に加え、葬送の簡素化で寺の収入は減っている。寺は過剰な投資をせず、身の丈にあった経営をする必要がある。遺骨を守るためにも、檀家(だんか)は住職に寺の会計の開示を求めることが大切だ。トラブルが続くなら、別の寺に移ることも視野に入れた方がよい。