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 新型コロナウイルスの感染歴があると、血液中の抗体量が確かに上昇していることを長崎大学の河野茂学長らのチームが確かめた。現在の抗体検査は、陽性と陰性を判別する根拠が十分ではないといい、今回の結果を使うことで精度の高い検査キットの開発につながるという。

 チームは、PCR検査で感染が確認されたクルーズ客船コスタ・アトランチカ号の乗員84人の血液中の抗体量の平均と、コロナ発生前の2017年に採取された別の80人の抗体量の平均を比較し、統計的に意味がある差があることを見つけた。チームは、それらの間に陽性と陰性の境目となる適切な閾値(いきち)を設定することで、正確な判定ができるようになるとしている。河野学長は27日に都内で開かれた会合で研究について発表し「抗体検査が信頼できるものなら疫学調査に使える」とした。

 抗体検査は、新型コロナ感染歴や流行の広がりを知るのに有効とされ、各国でキットが実用化されている。しかし性能に問題があったり、閾値の設定がはっきりしなかったりするものも多いという。

 実際、厚生労働省が4月、東京都と東北地方6県の流行の広がりを調べるために使った複数のキットは、新型コロナが発生していないとされる2019年の献血も陽性と判定したケースがあった。厚労省は結局、感染歴や流行の広がりの評価を断念している。(姫野直行)