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 JR九州が27日に公表した路線別収支では、県内の日南線、吉都線、日豊線の3線で利用者が激減し、いずれも大幅な赤字に陥っていた。県なども「地域の人の足を守る」とし、利用促進に協力していく考えだが、道のりは険しい。

 県内で、1日あたりの利用者が年間2千人を下回るのは4線の6区間。「平均通過人数」を1987年と比べると、同年と比較できない宮崎空港線を除くと、29~74%の減=表。

 県総合交通課の担当者は「特効薬はない。今後も地道に利用促進活動を続ける」と話す。利用者減少の理由として①車社会の進展②沿線の人口減――を挙げ、「通学する高校生が減り、厳しい状況」という。

 県は、路線ごとに沿線自治体がつくる利用促進協議会と協力し、集客策を講じてきた。地域住人だけでなく、域外からの呼び込みに力を入れ、沿線住民も交えた「サポーター制度」もつくった。吉都線では昨年、鹿児島県側からのツアーを企画。列車で地元を案内するボランティア観光ガイドも導入した。日南線では、観光列車「海幸山幸」を生かしたPRのほか、串間―日南で「子育て応援列車」も走らせた。

 沿線の各市もてこ入れに躍起だ。日南市は、プロ野球の広島と西武がキャンプ地とする油津、南郷の両駅をそれぞれチームカラーの赤と青に塗り、ファンにアピール。リニューアルした日南駅では、市が観光協会に委託料を払って駅員を配置し、「無人駅」を回避している。

 だが今年は、新型コロナウイルスの影響で、各路線で利用者が大幅に減った。県が吉都線、日南線で計画した「ワイン列車」「婚活列車」も中止に追い込まれ、担当者は「廃線への動きにつながらないよう対策を考えたい」と危機感をにじませている。

 今回の発表を受け、関係市町は談話を発表。JR吉都線利用促進協議会の会長を務める村岡隆明・えびの市長は「吉都線の大幅な(マイナス)損益には認識を新たにした」、池田宜永・都城市長は「非常に厳しい数字」とし、それぞれ利用促進に取り組む意向を示した。池田市長は「JR九州には公共交通事業者としての責任を果たしていくよう強く求めたい」とも述べている。

 崎田恭平・日南市長も「日南線は市民生活の上で極めて需要。更なる利用促進へ向け、JRや沿線自治体と連携したい」、読谷山洋司・延岡市長は「輸送密度の低い線区のみを抜き出しても日豊本線の意義や性格は正確に表せない」とのコメントを発表した。(矢鳴秀樹)

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 JR九州の発表を受け、宮崎県の河野俊嗣知事は談話を発表した。

 「新型コロナウイルスの影響により、地域交通全体の需要が大きく落ち込んでいる中で、このような数字が公表され、極めて厳しい状況と受け止めている」とし、「今後とも路線の維持に向けて、沿線市町やJR九州と連携を図りながら、一層の危機感をもって、利用促進に努めてまいりたい」としている。

 赤字線区がまとめて発表されたことについて、「輸送密度の低い線区のみの発表となっているが、JR九州にはすべての線区の収支の公表を求めるとともに、公共交通事業者としての責任をしっかりと果たしていただきたい」と注文を付けた。