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 「飲食店でのお酒の提供は午後7時まで」とされていた県の自粛要請が26日、「午後10時まで」に緩和された。自粛ムードに覆われていた街は変わったのか。千葉市中央区の繁華街「富士見町」を記者が三度、歩いた。

 26日午後8時30分。「カンパーイ!」。会社帰りの若い男女たちが、グラスを交わす。店内は席の3分の2ほどが紙エプロンをして肉を焼くお客で埋まっていた。ひときわ騒がしいテーブルでは、サラリーマンが顔を近づけて大きな笑い声をぶつけ合う。

 県のお酒提供の自粛要請を守る店ならば、前日までは見られなかった光景だ。ただ、男性記者(29)の見るところ、国の緊急事態宣言が大阪府などで解除された21日ごろから、街に人通りが戻り始めていた。

 26日を境に変わった光景もあった。

 本通りで、レゲエやヒップホップを流す「HAPPY BAR」。3月末から休業しており、この日、約2カ月ぶりに再開した。

 「やっと街に戻ってこられたよ」。店主のボビー・ダンクワァさん(46)は、すっきりとした表情だ。ガーナから来日し、9年前に店を開いた。知り合いもいない状況から、口コミで客を増やし、日本人も外国人も集まる場になった。

 だが、日没後に店を開けても、お客はなかなか来ない。午後9時30分。ようやく1人目のお客となる日本人の中年男性がほろ酔い姿で訪れた。「久しぶりー!」。見知った顔に思わず叫んだ。「また一からスタート。にぎやかにしたいね」

 女性記者(35)が居酒屋「かぼちゃ一番」ののれんを一人でくぐったのは午後9時過ぎ。前から入り口のタヌキの絵が気になっていた。営業は46日ぶり。1階の約30席の半分ほどが埋まり、密を避けるためか他のお客と離れた席へ案内された。除菌スプレーもある。

 生ビールの中ジョッキと焼きそら豆を頼む。4人用の机に1人でも、やっぱり店で飲む酒はうまい。もう一品頼もうとしたが、午後9時30分を回り、ラストオーダーが過ぎていた。

 閉店時間の午後10時を10分ほど過ぎ、20代の男女3人が席を立った。コロナ禍前は終電までみんなで飲んでいた。この日はここでお開きという。女性は言った。「浦安の自宅で飲み直します」

 街はコロナ前の活気を取り戻せるのか。

 男性記者が、ネオンの明るさが戻った通りの裏に足を踏み入れると、まだ休業を続ける店が寂しく並んでいた。明と暗だ。

 酒屋の店長は街の異変を教えてくれた。「人通りが増えてこない。営業している店だけが増えた印象ですね」。酒屋の売り上げは、国が緊急事態宣言を全国で解除した25日以降もほぼ変わらず、例年の4割程度という。人件費を削るため、配達のアルバイトには勤務時間を短くしてもらっている。

 「居酒屋で飲む人が減ると、2軒目でキャバクラなんかに行く人も減る」。そうして酒屋の注文は減り、街では金が回らなくなる。配達先も数店つぶれたという。「元通り? お盆開けか、1年後か。解除でも全く一安心ではないです」(今泉奏、真田香菜子)

自粛要請をめぐる動き

4月2日 県、平日夜間と週末の外出自粛要請

7日 国が緊急事態宣言

14日 県がカラオケ店などに休業要請。居酒屋などは対象外

18日 県が飲食店にお酒の提供を「午後7時まで」と要請

20日 県が県外向けに「千葉県に来ないで」と要請

5月25日 国が緊急事態宣言を全国で解除

26日 県の飲食店への要請で、お酒の提供が「午後10時まで」に緩和