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 新型コロナウイルスの緊急事態宣言は解除されたが、大阪府が営業休止の要請を今も続ける業種の一つが接客を伴う飲食業だ。府南部有数の歓楽街、翁橋(おきなばし)(堺市堺区)は今も、多くの店がネオンを落としたまま。経営者の苦悩も深まっている。

 「消費者金融に手を出したらあかん」。市内でラウンジを複数店舗経営する女性(50)は、若手従業員が借金を考えていると聞き、あわてた。

 従業員はシングルマザーで、昼と夜、二つのアルバイトで生活費を稼いでいたが、感染拡大の影響で双方とも収入が途絶え、借金でしのごうとしていたという。結局、女性が生活費として10万円を貸した。

 女性の店は4月7日からずっと休業しているが、店舗改装時の借金や店の家賃などの支出は続く。保険を解約するなどして工面しているものの、店の営業再開のイメージすらつかめずにいる。「最近夜中に突然目が覚めてしまう。はっきり言って不安しかない」

 別のラウンジ経営者の女性(51)も4月上旬から店を閉めているが、十数人の従業員には生活費を渡している。「自宅までお金を持って行ったら、女性従業員が泣きそうになっていた。精神的にきつくなっている子も少なくない」

 国の持続化給付金や府の休業要請支援金に申し込んだが、まだ入金はない。「あまりにもスピード感がない。目先のお金がない苦しさを政治家の人たちはどれだけ理解してくれているのだろう」と女性。収入が激減した女性従業員が、「パパ活」や援助交際に走らないか、心配している。

 たとえ近い将来営業が再開できたとしても、人数制限など感染リスクを減らす対策を徹底すれば、売り上げ減少は避けられない。「私たちも感染は怖い。かといって、マスクして距離を置いて接客する夜のお店に、お客さんがどれぐらい戻ってくれるのか……」。悩みは尽きない。

 スナックやラウンジなどが約50店舗加盟する堺社交事業組合の渡部一昭理事長によると、コロナの影響で廃業を決めたという情報が複数入ってきている。「最近増え始めていた訪日観光客も一気にゼロになった。一刻も早く事業者の手元にキャッシュ(現金)を届けないと、さらに廃業や解雇が増える」と危機感をあらわにする。

 緊急事態宣言は解除されたが、府はクラスター(感染者集団)が発生した、接客を伴う飲食店などには引き続き休止を要請している。府は28日の対策本部会議で解除するか検討する。(白木琢歩)