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 新型コロナウイルスの感染拡大が続くインドで、歩けない父親を後部座席にのせ、自転車を10日間こいで故郷の村に連れ帰った少女が話題になっている。

 地元メディアによると、自転車で約1千キロを走破したのはジョティ・パスワンさん(15)。オートリクシャー(三輪タクシー)の運転手として約20年間、首都ニューデリー郊外で働いてきた父のモハンさんは今年1月、交通事故で歩けなくなった。東部ビハール州の村から父を助けるために出てきて一緒に住んでいたが、3月25日以降、ロックダウン(封鎖)で外出は制限された。

 「家賃は支払えず、大家からは出て行けと言われた。食べ物もなく、このままでは飢え死にすると思った」。ジョティさんは地元メディアに語った。

 外出や移動の制限が緩和されてきたことから、ジョティさんはモハンさんの制止を振り切り、1千ルピー(約1400円)を借金して中古の自転車を購入。父を後部座席に乗せて今月8日に出発した。

 道中では、日中の気温が40度を超えた。夜はガソリンスタンドで過ごし、トラックの運転手が荷台に載せてくれたこともあった。食料は見知らぬ人が分けてくれた。村に着いた後は極度の疲労で寝込んだという。

 ジョティさんを知ったインド自転車連盟は「ものすごい忍耐力だ。ナショナルチームの適性検査を受けてほしい」とオファー。トランプ米大統領の長女イバンカ氏も「この忍耐と愛情による美しい偉業はインド国民の心をつかんだ」とツイートした。

 しかし、ジョティさんは「お金がなくて学校を退学せざるをえなかった。自転車はやむを得ず苦しさからやったこと。本当は勉強がしたい」と話した。ジョティさんが再び学校に通えるよう、支援を名乗り出た人もいるという。(奈良部健)