米トランプ政権は、核軍縮に向けた国際的な合意や条約から相次いで離脱し、核戦力の増強を続けています。離脱当時の軍縮担当者であるアンドレア・トンプソン氏に、その狙いや、来年期限を迎える米ロ間唯一の核軍縮条約の行方について、話を聞きました。
――米国は中距離核戦力(INF)全廃条約や、イラン核合意から離脱しました。当時の軍縮担当者としてどう考えますか。
「軍備管理の条約は両当事者が守ってこそ成立する。ロシアの新型巡航ミサイル『9M729』の保有はINF条約に違反している。米国の安全保障だけでなく、同盟国にとっても有害だ。INF条約は歴史的に機能しておらず、同様の欠陥がイラン核合意にもあった。トランプ大統領が『より良い条約、合意が必要だ』と言うのはそのためだ」
「米国内外に反対意見はあった。イラン核合意の離脱では同盟・友好国の一部から失望の声もあった。大統領がINF条約離脱を決断後、我々は半年間、ロシアの条約違反を同盟国に丁寧に説明した」
――米ロ間に唯一残る核軍縮条約である新戦略兵器削減条約(新START)も来年2月に期限が切れます。延長が危ぶまれています。
「ロシアは延長を望んでいる。米国はロシアが近代化を進める(射程が短い)戦術核や新型運搬システムが条約の対象になれば、延長しても良いという考えだ。さらに、中国も責任と透明性のある大国として振る舞いたいなら、米ロの枠組みに加わるよう協議を重ねたが、戦力で劣る中国は『なぜ我々に(核弾頭数などの)上限を課すのか』と議論に関心を示さない」
――単純延長には応じない判断もあり得ますか。
「それも選択肢の一つだ。私が…
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朝日新聞国際報道部