今村優莉
PCR検査の結果が陽性と判明し、新型コロナウイルスへの感染が確定したのは4月4日午後。呼吸器の持病がある夫(49)と、感染症の怖さが理解できない長男(3)、次男(1)がいる自宅マンションでの隔離生活は、すでに限界に近かった。
この前日には、東京都の小池百合子知事が、病院の負担を軽減させるため、軽症者らをホテルなどの宿泊施設に移動させる方針を発表していた。私(37)は検査結果を伝えてくれた保健所の担当者に、こうしたホテルに入れないか聞いたが、「こちらもテレビを見て知っている程度です。現場にそんな話はまったくおりてきていません」との返答だった。
「何が一番大変ですか」と聞いた担当者に「小さな子どもが2人いる。高齢の両親にも頼れない」と伝えると「配慮します」と言ってくれた。
70代の義母は、私が陽性診断を受け、「自分も近々発症するかもしれない」と夫に言われると「その時は私が(子供を)預かる」と答えたという。義父とも相談し、2人で孫を受け入れる覚悟を決めた。だが、症状がなくても、子どもたちも感染している可能性はある。高齢者として重症化するリスクの高い義父母に預ければ、命とりにもなりかねない。
どうすればいいのか、答えが見つからないまま、6日の夕方、保健所から電話がかかってきた。入院先が見つかったという。「今から約30分後に車で迎えに行きます。マスクをして家の前でお待ち下さい」。家族に感染させるリスクが減ることに、心からホッとした。夫も安心した様子で「ママ、病気を治しに行くんだよ」と子どもたちに説明していた。発症して10日目のことだった。
…
残り:3018文字/全文:3720文字
【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら
速報・新着ニュース
あわせて読みたい
PR注目情報
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部