個性的な食材の絶妙な調和 まかないが生んだカツオ料理
ごはんラボ カツオの中国風たたき
売り場に並ぶ新鮮な魚に心ひかれながら、うまく料理ができる自信がなくて通り過ぎてしまうことはありませんか。今回から4回のシリーズでは、ちょっとした工夫で、旬の魚介のおいしさを再発見できる調理法を紹介します。
まずは、カツオ。うまみが強い半面、時間が経つと出てくる特有の血生臭さが苦手な人もいるかもしれません。これを隠す技のうち、塩を振って臭み成分を溶け出させる、焼き付けて香ばしさをプラス、香りのよい野菜や調味料の助けを借りる、という三つを駆使します。
青ジソ、ミョウガ、トウバンジャンなど一つひとつは個性の強い材料が、絶妙なバランスでカツオを引き立てます。思い切って手であえることで、よい風味が全体にいきわたります。
たたきに添えるタマネギやニンニクがどうも……という人にもおすすめ。料理監修・吉田勝彦さんのお店のまかない料理から生まれた、とっておきのレシピです。(栗田優美)
カツオの中国風たたき
材料(2人前) 料理監修:吉田勝彦(中国家庭料理ジーテン)
□ カツオ 刺し身用さく300g(お茶漬けの分を含む)
□ 塩 2つまみ
□ 青ジソ 6枚
□ 長ネギ 1/4本
□ ミョウガ 1個
□ サラダ油 小さじ1
□ すりゴマ 小さじ2
□ しょうゆ 大さじ2
□ ゴマ油 大さじ1
□ トウバンジャン 小さじ1/2(辛いのが苦手なら入れない)
【作り方】
①カツオに塩を振り、指で全体に広げてそのまま置く。青ジソ、長ネギ、ミョウガをみじん切りにする。
②塩をまぶしてから10分ほど経ったら、カツオをキッチンペーパーで包み、軽く押さえて水気を取る。
③ボウルにカツオが浸るくらいの氷水を用意しておく。フライパンにサラダ油を入れて強火にかけ、温まったらカツオを入れて表面を焼き付ける。
④氷水にとり、30秒ほどで引きあげてキッチンペーパーで包み、軽く押さえて水気を取る。ボウルを空にして拭く。カツオを幅7~8mmに切ってボウルに入れ、刻んだ青ジソ、長ネギ、ミョウガとすりゴマを加え、手で混ぜあわせる。しょうゆ、ゴマ油、トウバンジャンを入れ、さらにあえる。
1人前約221kcal、塩分2.9g
(栄養計算:女子栄養大学栄養クリニック)
アレンジ カツオウーロン茶漬け
カツオの中国風たたきを1人前2~3切れ分残しておき、トウバンジャンと相性のよいウーロン茶でお茶漬けに。カツオは1切れを3等分するくらいの大きさに粗く刻む。大きめの茶わんにごはんを入れ、カツオ、ザーサイのみじん切り小さじ1、天かす大さじ1をのせる。温かいウーロン茶を注ぐ。
Cookery Science
カツオの表面を焼くと、香ばしい風味が加わるほか、表面のたんぱく質が熱で凝固して水分が抜け、調味料が入りやすくなる。かんだときに肉汁を感じやすくなる効果もある。さらに、外側の肉質は硬くなるが、内部は軟らかい生の状態のままで、複雑な食感を楽しめる。(監修:香西みどり・お茶の水女子大学教授)
Topic 初ガツオ 価格は例年並み
カツオは春、暖流にのってエサを追い、日本近海の太平洋を北上します。「初ガツオ」「上りガツオ」と呼ばれるものです。夏にかけて常磐沖~東北沖が主な漁場に。秋には産卵のために南下します。これが「戻りガツオ」です。
神奈川県横須賀市の水産会社社長嘉山定晃さん(44)によると、今春の水揚げ量は昨年の半分ほど。ただ、コロナ禍で外食の需要が減っており、価格は例年並みです。ビタミンB群、鉄分なども含むカツオは、疲労回復によいとされます。嘉山さんいわく「カツオ船の漁師が早朝から日没まで元気に操業できるのがその証し」だそうです。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。