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 新型コロナウイルスの影響で休職を余儀なくされた人たちを、人手不足に悩む農業現場への雇用に橋渡しする取り組みが、青森県内で始まっている。

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 弘前市新法師のリンゴ畑では15日、市のマッチング支援事業を活用して就労した男女2人が、リンゴの摘花作業に汗を流していた。

 真っ白なリンゴの花で一面埋まった農園でハシゴに登り、素早い手つきで次々と花を摘み取っていたのは、山本篤志さん(59)。総合宴会場で調理や営業を担当していたが、4月下旬から休職を余儀なくされ、一時的に就労した。「10万円の給付金では焼け石に水。初めてのことで大変だが、早く覚えたい」と作業の合間に笑顔で話した。

 勤め先の総合宴会場「サンパレス秋田屋」は、歓送迎会シーズンの3月末から予約のキャンセルが増えて4月の宴会はゼロになり、大型連休中も休業せざるを得なかった。秋田和寛社長は「大震災よりひどい状況。従業員には子育て中の親やシングルマザーもいる。収入を補って戻ってもらいたい」。客足が戻れば山本さんが作業を手伝ったリンゴを使ったデザートも宴会に採り入れたいと計画している。

 農園では2ヘクタールの園内で王林やふじを栽培しているが、実をおいしく大きく育てるための摘花や摘果の作業は約1カ月間のスピード勝負。工藤司さん(68)は「2、3人は頼みたいが人がいない。やる気十分でいいと思う」と喜んだ。

 市のマッチング支援事業は、新型コロナウイルスの影響で休職中の従業員やアルバイトを雇用した農家に、1日あたり3千円を上限に賃金の半分を補助する。市によると27日現在、JAなどを通じた職業紹介で、宿泊業や大学生の計183人がこの制度を利用して就業する見通し。さらに制度の周知を進め「困っている人たちに活用してもらいたい」という。

 この日の取材も制度を広く知ってもらおうと市が作業現場を報道陣に公開した。作業を視察した桜田宏市長は「休業を余儀なくされた人が少しでも収入を得ることが生活につながると思う。制度をPRしていきたい」と話した。(林義則)

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 県も同様のマッチング事業を実施している。4月10日、新型コロナウイルスの影響で休職している人と農家を橋渡しするための相談窓口を、青森市新町2丁目の「あおもり農林業支援センター」(017・773・3131)に開設。今月18日にはおいらせ町の「柏崎青果」と弘前市の「ゴールド農園」で、センターを経由して紹介された人たちが、ニンニクのネット詰めやリンゴの摘花作業を行った。

 27日現在、この2社を含む県内6社で、休職中の9人が仕事をした。窓口にはマッチングについてこれまでに53件の相談があり、多くが農家からのものだという。

 県の担当者は「県内にはまだまだ潜在的な求職者が多くいると思う。相談窓口を利用していただき、求職者と農家のニーズを結びつけていきたい」と話した。(仲川明里)