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 北海道内7空港の一括民営化で運営会社に決まった「北海道エアポート」の蒲生猛社長が朝日新聞の取材に応じた。新型コロナウイルスの影響で業績が悪化しているため、各空港に5年間で1千億円超を投資する計画を見直す方針を明らかにした。今後、地元自治体などと協議に入る。(長崎潤一郎、志田修二)

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 三菱地所や北海道電力など道内外17社が出資して設立された北海道エアポートは6月1日から、これまで国が担ってきた新千歳空港の運営業務を始める。10月には旭川空港、来年3月には釧路や函館など残る5空港を、国や道、地元自治体から引き継ぐ。各空港のターミナルビルの経営は今年1月から始めている。

 だが、新型コロナの影響で航空各社の減便が相次ぎ、業績は急速に悪化している。4月の新千歳の旅客数は国内線が前年の12・5%、国際線はゼロ。空港ビルの4月の売上高は前年の1割に落ち込んだ。6月以降も今の減便規模が続けば、着陸料など航空会社から得られる収入も想定の1割以下の見通しという。

 蒲生氏は「売り上げは壊滅的な状況だ。いつ回復するのかすら見通せない」と述べ、7空港への投資計画の見直しに言及した。今後30年間で約4300億円を投じる計画のうち、当初5年分(1千億円超)を中心に、一部を先送りするなどの見直しを検討している。

 蒲生氏は、新型コロナの影響でインバウンド(訪日外国人客)の回復が国内客に比べて遅れるとの見通しを示し、「(国際線と国内線で)濃淡を付ける形で見直したい」と述べた。国際線の受け入れ体制を強化するために、稚内空港や函館空港で計画しているターミナルビルの建て替えなどが対象になる可能性がある。

 同社は、7空港のうち唯一黒字を維持する「ドル箱」の新千歳以外の空港にも積極的に投資し、道内全体の観光を底上げする構想を掲げる。地元自治体とも連携し、30年後に新千歳以外の6空港の旅客数を現在の約2倍の1048万人に増やす目標を示している。蒲生氏は「計画の見直しは我々だけでは決められない」と述べ、今後の協議で地元自治体などの理解を得たい考えだ。

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 これまで国が担ってきた新千歳空港の業務は、滑走路や誘導路の保守点検、事故や災害など緊急時の対応、ハイジャックやテロ対策、冬場の除雪作業など多岐にわたる。北海道エアポートは6月1日からこれらの業務を引き継ぎ、ほかの6空港の離着陸状況などを大型モニターで24時間監視する「北海道オペレーションセンター(HOC)」も新千歳空港内に設置する。

 業務の円滑な移行のため、国土交通省新千歳空港事務所の職員の出向を受け入れたうえで、新たに160~170人を採用する計画だ。ただ、新型コロナウイルスの影響で採用活動も難しくなっており、新千歳と旭川以外の5空港で必要な要員を確保するめどが立っていないという。蒲生氏は「引き続き要員の確保に全力を挙げ、安全・安心な空港運用を最優先に取り組んでいきたい」と話す。

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 北海道エアポートの蒲生猛社長との主なやりとりは次の通り。

 ――新型コロナウイルスの業績への影響は。

 「新千歳空港のターミナルビルの売り上げは3月が前年の約25%だったが、4月は10%、5月は5%程度だ。いまの減便規模と機材の小型化が続けば、6月以降の着陸料などの収入も5%程度に落ち込むだろう」

 ――30年間で約4300億円を投資する計画は。

 「見直しは避けられないと思っている。特に5年間で1千億円超を投じる計画は、先送りも含めて相当見直さざるを得ない。ただ、投資は(地元自治体などとの)約束でもある。我々だけでは決められない」

 ――旅客需要の今後の見通しは。

 「需要がピークを迎える夏に国内客だけでも戻ってほしいと期待している。(08年の)リーマン・ショックや(11年の)東日本大震災のように、半年近く需要が落ち込むリスクは想定していたが、今回はいつ回復するのかが見通せない。想定を超えた事態だ」

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