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 中国の全国人民代表大会で香港での反体制的な言動を取り締まる「国家安全法制」の導入に関する決定が採択されたことについて、菅義偉官房長官は28日の記者会見で「議決が国際社会や香港市民が強く懸念する中でなされたことや、香港の情勢を深く憂慮している」と表明した。

 秋葉剛男外務事務次官は28日、中国の孔鉉佑(コンシュワンユー)駐日大使を外務省に呼び、「深い憂慮」を強く申し入れた。茂木敏充外相も記者団に「香港は密接な経済関係や人的交流を有する極めて重要なパートナー。一国二制度のもと、自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展していくことが重要だ」と述べた。安倍晋三首相は同日夕、首相官邸で記者団からの香港に関する問いかけに対し、答えなかった。

 香港の国家安全法制をめぐっては、全人代の開催前、中国側から外務省幹部に対し、「内政干渉」しないようにとの通告があったが、同幹部は「強い懸念」を伝えていたという。

 しかし、米国のトランプ政権が制裁措置をちらつかせながら批判を強めると、茂木氏は26日の参院外交防衛委員会で「今の中国の動きを見ると、相当な懸念がある。日本としてもしっかりと中国とやりとりをしなきゃならない問題だ」と牽制(けんせい)した。

 一方、日本は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期された習近平(シーチンピン)国家主席の国賓訪日の実現も目指している。今回の申し入れについて、日本側は「抗議」という言葉を使わなかった。茂木氏は記者団から「抗議か?」と問われると、「大使を招致し、日本の立場を強く申し入れるということ」と説明。習主席の訪日については「日中間には様々な懸案もあり、ハイレベルな往来で課題を解決していくことが重要」と語った。(太田成美)