「すべて後手後手」怒る伝説のママ 歓楽街の行く先は

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石橋英昭
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 2カ月近く息を潜めていた仙台・国分町に、人影が戻ってきた。だが高級クラブやキャバクラなど女性の接待を伴う店は、自粛が解かれた後も苦境が続く。震災後、復興景気にわいてきた東北一の歓楽街は、どこへ行くのか。

 「サロン ラ・ドンナ」は、定禅寺通のビル1階にある。アールヌーボー巨匠のシャンデリア、グランドピアノに専属歌手。仙台で数少ないVIPルームを擁し、政財界の大物たちもごひいきだ。

 県知事と仙台市長らが共同で不要不急の外出自粛を呼びかけた4月3日、ラ・ドンナは休業を決めた。接待を伴う店は感染リスクが高いとされていた。

 クラブオーナーの鈴木せつ子さん(78)は「食事の後、お酒と豊かな会話を女性と楽しむ。そうした社交文化が否定されるようでくやしかった」と言う。この町で店を始めて半世紀以上になる「伝説のママ」だ。和食店やバーを合わせ10店で年7億円を売り上げる。

 鈴木さんは手をこまねいてはいなかった。なじみの議員からは「こんな支援策が決まったよ」と情報が入ってくる。日本政策金融公庫の担当者に談判し、国分町のクラブママたちでつくる「伊達なママの会」のメンバーに融資を紹介した。

 50人近いホステスには、4月の間、日給の半分を支給。十数人いる黒服(男性従業員)は給料30%カットで我慢してもらった。店再開に向け、5月末には顧客2千人に割増商品券のお知らせを届ける予定だ。

 6月1日、店を2カ月ぶりに開ける。

 どれだけ客が戻るかは読めない。大企業社員や社会的地位のある人ほど、繁華街に行くのを控えるからだ。「クラブの灯は消したくない。でも、国分町のクラブというだけでマイナスのイメージがついたのが、つらい」

アキレス腱を切られて、走れといわれているようなもの」

 飲食店ひしめく国分町で震災後に急拡大したのが、比較的若い世代が楽しむキャバクラだ。4月1日、その1軒で感染者の発生が判明。数日のうちに、ほとんどの店が門を閉じた。

 我妻剛史さん(40)は、人気店「Kingyo」など3店を経営する。150人近いキャスト(キャバクラ嬢)には、シフトが入っていた日に5千円を支給した。家賃月計500万円。売り上げがなくなり、資金繰りをどうするか。

 壁が立ちはだかった…

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