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 大阪府富田林市の左近(さこん)憲一市議(73)=6期、無所属=が地元の約850世帯に使い捨てマスク各2~3枚を無償配布していたことがわかった。政治家が選挙区の有権者に物品を寄付することを禁じた公職選挙法に抵触する疑いがある。

 左近氏は朝日新聞の取材に「マスクが手に入らず困っているとの声があったので、親族がかかわる福祉施設に無償提供され、余った分を配った」と説明。「私が買った物ではないので(公選法上の)寄付行為にあたるという認識はまったくない」と話した。

 左近氏の説明や地元関係者によると、左近氏は4月29日、地元の連合町会の会合に出席し、住民へのマスク配布を提案した。「選挙運動じゃないのか」と公選法違反を心配する意見も出たが、左近氏は「私の金で買ったのではなく、もらったものを配るので大丈夫」と回答したという。

 連合町会にはその後、左近氏から大量の白封筒が届いた。封筒には2~3枚のマスクのほか、配布の経緯を説明し、左近氏の名前と連絡先が記された紙などが入っていた。連合町会は三つの町会を通じ、計約850世帯に配布した。

 ある班長の女性は町会役員からマスク入りの白封筒を渡され、配るよう指示された。左近氏の名が記された紙を見て「選挙運動ではないか」と不審に思ったという。再確認したが、「問題がないと言われたので配るしかなかった」と話す。

 連合町会長の男性は「住民から頻繁に『マスクが手に入らない』と相談を受けていた時期と重なり、皆さんが少しでも助かるなら、と話を受けてしまった」と悔やむ。複数の住民から問題があると指摘され、受け取りを拒否した人もいた。「申し訳ないことをした。配るべきではなかった」と話した。

 府選挙管理委員会によると、無償で入手したとしてもマスクそのものに財産上の価値があると認められることから、担当者は「配布すれば公選法が禁じる寄付行為にあたる可能性が高い」としている。

 左近氏によると、各地の業者や知人から2千~3千枚の無償提供を受け、余った分を家族らで小分けしたという。次の市議選に出ず引退する意向を固めているとして、「(買収する気は)ない」と語った。(山本逸生、白木琢歩)