朝日新聞社は29日、東京高検の黒川弘務・前検事長の賭けマージャン問題で、経営企画室に勤務していた管理職の社員(50)=現在は人事部付=を停職1カ月とする処分を決めた。管理責任を問い、福島繁・執行役員経営企画室長を譴責(けんせき)とした。いずれも同日付。

 社員は、緊急事態宣言下に黒川氏、産経新聞記者2人と賭けマージャンをしており、本社は極めて不適切な行為と判断した。定年延長や検察庁法改正案が国会などで問題となっており、渦中の人物と賭けマージャンをする行為は、報道の独立性や公正性に疑念を抱かせるものだった。

 この問題は週刊文春の報道で明らかになった。社員の説明によると、社員は4月と5月に計4回、産経新聞記者の自宅で、黒川氏らと現金を賭けてマージャンをした。同じ部屋に各自が持ち寄って飲食もした。この期間は、新型コロナウイルスの感染防止のため、外出自粛と「3密」を避けることが強く要請されており、朝日新聞もその重要性を繰り返し報じていた。

 社員は「極めて不適切な行為で深く反省している」と話している。社内調査に対して「過去3年間に、同じメンバーで月に複数回、マージャンをしており、1回あたりの勝ち負けは1人あたり数千円から2万円程度だった」と説明している。社員は東京社会部の司法担当記者だった2000年ごろ、黒川氏と取材を通じて知り合い、2017年に編集部門を離れた。黒川氏の定年延長、検察庁法改正案などの取材・報道には関わっていない。

 弁護士や市民など複数のグループが、黒川氏と社員ら計4人を常習賭博などの疑いで東京地検に告発している。

報道倫理が問われる問題、重く受け止めます

 中村史郎・朝日新聞社執行役員編集担当兼ゼネラルマネジャーの話 今回の問題に対して、読者の皆様から「権力との癒着ではないか」といった厳しいご批判を多くいただいています。皆様の信頼を損ねたことを重く受け止め、改めて深くおわびいたします。社員は黒川氏とは社会部の司法担当記者時代に取材先として知り合っており、記者活動の延長線上に起きたことでした。報道倫理が問われる重い問題と受け止めており、取材先との距離の取り方などについて整理し、改めてご報告いたします。