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 各地で混乱している特別定額給付金の申請について、兵庫県加古川市はネットを活用した独自のサービスを次々に打ち出している。申請処理状況を市のホームページで確認できるようにしたほか、27日からはマイナンバーカードがなくてもオンライン申請できるようにした。どちらも市情報政策課副課長の多田功さん(46)のアイデアだ。

 多田さんは入庁後、地域振興部で書類の書式を統一したり、人事部では給与システムを担当したりした。その中でパソコン技術を学び、2014年、庁内のネット環境を整備する情報政策課に配属された。

 4月末、全国の自治体で情報通信技術(ICT)を担当する職員約30人のオンライン飲み会に参加すると、メンバーの中にLINEを使って特別定額給付金の申請状況を問い合わせるサービスを考えた人がいた。

 直後、多田さんは新設された「新型コロナ感染症生活支援課」の兼務となった。飲み会で知ったLINEを使った問い合わせサービスをヒントに「市民が一番知りたいのはいつ振り込まれるかだ。市のホームページで申請状況が確認できるようにしては」と提案。庁内の賛同を得て1週間程度でシステムを立ち上げた。今月20日に開設した問い合わせサイトの閲覧は、29日までに約1万7千件にのぼった。

 申請でも、郵送の場合は、振り込み決定の通知書は送らない方針のため、問い合わせが殺到することが予想された。紙で届いた書類は、読み取り機を使ってもデータ化できるのは1日に7千通程度。多田さんは「世帯全員の氏名などすでに入力済みの情報もある。照会番号でひもづければ、ネット申請も可能」と考え、一般的なプログラム作成ツールを使って手軽に入力できるオンライン申請システムを作った。

 「マイナンバーカードは持っていないが、手で書類を書いたり、印鑑を押したり、コンビニで書類をコピーするのが面倒だと思っている人も多いはず」。ネット通販などでパソコンやスマホを使い慣れた人たちには歓迎されるとみていたが、市独自のオンライン申請は開始1日で約6千件に達し、これまでのマイナンバーカード申請の総数約4千件を上回った。

 興味のある自治体には自由に使ってほしいと、28日には作ったオンライン申請システムを公開。すぐに10近い自治体から問い合わせがあった。多田さんは「生活を楽にするための補助ツールとして、デジタルにはまだまだ可能性がある」と話す。(三浦宏)