ハンセン病とコロナ 俳優石井正則が撮る「差別の記憶」
岩井建樹
フィルム写真の愛好家としても知られる俳優の石井正則さん(47)。ここ数年、ハンセン病療養所にレンズを向けてきた。「強制隔離という歴史を背負う療養所が持つ『記憶』をフィルムに収めたかった」と語る石井さんに、撮影を通して感じたことや、ハンセン病差別と新型コロナウイルス感染者への中傷との共通点について尋ねた。
石井さんは俳優業の傍ら、8インチ×10インチや35ミリのカメラを携えて全国に13ある療養所を3年かけて巡った。きっかけは、ハンセン病のドキュメンタリー番組を目にしたことだった。
たまたま見た番組 何かに導かれるように
「それまでハンセン病に関心があったわけではありません。たまたま番組を目にし、何かに導かれるように始めました。療養所が持つ『場の記憶』や『空気感』をフィルムに収めたいと思ったのです」
「足を運ぶと、建物や施設の老朽化が進んでいる所もありました。今、フィルムに残さないといけないという使命感がわきました」
「らい菌」によるハンセン病…