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 モータースポーツの縁がつながって、トルコから三重県鈴鹿市に1箱50枚入りのマスクが8千箱届いた。歩くことなどが不自由で、マスクを買うことさえ困っていたお年寄りらに6月8日ごろから配られる。

 マスクの第1陣5600箱は18日にトルコを発ち、20日、トラックでAGF鈴鹿体育館へ。25日に第2陣2400箱が届いた。仕分け作業中、一部に不具合が見つかり、全品を再輸送するなど万全を期して配布するという。

 市内には、独り暮らしの高齢者や75歳以上しかいない世帯、重度の障害者ら災害時要援護者台帳の登録者が約9200人いる。普段、マスクを買いに出ることも難しく、市は1人に1箱ずつ届けることにした。

 大型連休直前、大量のマスク確保は難題だったが、モータースポーツ振興などを扱う地域資源活用課の小野秀哉課長は、モータースポーツのマネジメントや製品開発を扱う会社「MIDORI」の社長で、チェコのプラハを拠点にする森脇緑さん(42)に相談した。

 森脇さんは、オートバイレースの世界では有名なモリワキエンジニアリングの創業者の娘。今季は自らが代表のチーム「MIEレーシング・アルティア・ホンダ」が、世界最高峰レースのひとつ「スーパーバイク世界選手権」に参戦している。欧州各国の政府や経済界に人脈があり、小野さんの相談を引き受けた。

 森脇さんは、今季のレースが新型コロナウイルス感染症の影響で延期しているため、3月から鈴鹿市にいた。急いで海外の知人やスタッフに連絡し、トルコ政府公認の医療製品会社を見つけ、日本への発送の許可も取り付けた。

 森脇さんは体育館で市の職員らと一緒にマスクを運ぶ作業も手伝った。「ふるさとのため、という気持ちだけで受けましたが、こうして実際にマスクが届いてうれしい。みなさんの健康を守ることに少しでも役立てば」と話す。

 鈴鹿市はこれらトルコからのマスクとは別のルートで1800箱を仕入れており、合わせてお年寄りらの人数分を確保した。(中根勉)